西日本の広範囲を襲い、甚大な被害をもたらした平成30年7月豪雨。各地で土砂崩れや河川の氾濫が発生し死者は117人、依然89人の安否がわからない状況だ(9日19時時点)。堤防が決壊し町の4分の1が浸水した岡山県倉敷市の真備町では、昨日午後6時までに1850人が救助されたが、浸水規模の大きさから未だ被害の全容がつかめていないという。
徐々に水が引き、家屋の片付けなどができるようになってきた地域もあるが、今後どのようなことに注意して動くべきなのか。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、水害に遭ってしまった時の対応をまとめた。(出典:震災がつなぐ全国ネットワーク)
(1)被害状況の記録と連絡
・水が引いたら被害状況を写真に撮る
→被害の様子をわかりやすく
→家の外を4方向から、メジャーなどを使い浸水の深さがわかるように
・施工会社・大家・保険会社に連絡
→火災保険や共済に加入していたら担当者にも連絡
→り災証明書の発行を受ける
(2)感染症の予防
・肌の露出を避け掃除する
・作業後に手と指を消毒
・水分補給を忘れずに
・からだに異常を感じたら受診
(3)濡れた家具や家電の片付け方
・片付けはゆっくり
・ボランティアにお願いする
【△】使えるかもしれないもの
・ふすま、障子→乾かすと桟や枠は使えることも
・エアコンの室外機→しっかり乾かせば使える場合も
・トイレ、風呂釜→電気系統以外は洗えば使用可能
・食器類→キッチンハイター(塩素系漂白剤)で消毒すれば使用可能
【×】再利用が難しいもの
・畳、じゅうたん、布団→水を吸うと使用不可
・木製の棚(合板)→乾いたように見えてもあとからカビが生える可能性
一方、家に戻れない人が余儀なくされるのが避難所などでの生活。東日本大震災時に被災者に心理カウンセリングを行っていた臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は、避難所の生活は相当なストレスがかかっていると指摘する。
「避難されているとはいえ、不確定要素がある生活になる。ストレスへの反応からいうと、救助を待っているような危機的な状況からは一歩脱したと思うが、ふっと安心する瞬間が実は心配。そういう時に黙って何もせずにいると、より心身の状態が悪くなっていく」
そのため、体を動かしたり避難所の中で運営に携わったりすることが効果的だといい、「“仕事”をしていただいた方が健康状態を保てるのではないか。例えば、満員のエレベーターの中で一番ストレス度が低いのはコントロールパネルの前だと言われている。避難所にはボランティアの方もたくさん来ると思うが、避難者の方も自分たちで運営しているんだという気持ちを持つことで、一定の健康状態を保っていただけるのでは」との見方を示した。
また、ボランティアへ向かう人へ向けては「いろいろやってあげたくなってしまうが、被災された方も作業があったほうが気も少し逸れるし、夜眠れることにもつながる。(避難された方には)無理のない範囲で休んでいただきたいが、活動を作って一緒に取り組むのがいいと思う」と、被災者とともに作業を行う意識の必要性を述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)