様々な世界で女性が活躍する場が増える中、おおむね女性が主人公として活躍する世界がある。ライトノベルだ。若者向けの小説として、これまでにも多数の作品が世に出ている。このライトノベルの世界で、傾向としてあるのが「女性キャラがたくさん出てくることだ」。将棋を題材にした「りゅうおうのおしごと!」の作者、白鳥士郎氏も「男の子より女の子の方が多いですね。だからそれを表現するには、題材は女性がすごく進出している世界じゃないといけないんですよ」と語った。将棋の世界も「女流棋士」と呼ばれる人々が、盤上の駒に命をかけている。ライトノベルと将棋の共通点と、女流棋士に期待することを聞いた。

 将棋界における男女は大きく「棋士」と「女流棋士」に分かれている。将棋においてのプロは「棋士」を意味し、養成機関である奨励会(三段まで)から四段に昇段した者だけが、晴れてプロ入りし「棋士」と呼ばれるようになる。一方、女流棋士は一般的に見れば“プロ”ではあるものの棋士とは呼ばれず、戦う場も主に女性のみの「女流棋戦」になる。女性でもあっても奨励会から棋士になることはできるが、まだ誰も出ていない。

 それでも近年、この奨励会から棋士を目指す女性が増えている。奨励会の西山朋佳三段は、女性初のプロ棋士まであと一歩。同時に女流棋戦にも出場しタイトルも保持していることから、女性としてはトップクラスだ。また、女流の6タイトル中4つを持つ里見香奈女流四冠も、奨励会三段まで行った。女流でも参加できる棋戦の1つ、棋聖戦では村田智弘六段に勝利。次戦は数々の最年少記録を達成した天才棋士・藤井聡太七段と対局することが決まり、注目を集めている。

 女性が大活躍するライトノベルの題材として将棋に注目した白鳥氏は「将棋は男性社会に見られがちですが、女性でも実力に応じて活躍する場がちゃんとある」と、相性のよさを見出していた。

白鳥氏 西山先生(三段)はプロになる可能性がありますよね。それから外国人で女流棋士になられたカロリーナ先生(女流1級)もそうですけれど、将棋の世界を広げるには、女性がもっと強くなることが一番効果的なんじゃないかと思うんですよ。「りゅうおうのおしごと!」では、雛鶴あいちゃんが小学生(10歳1カ月)で女流棋士になりました。また主人公の姉弟子・空銀子は奨励会の三段リーグで戦っています。

 女性キャラクターが魔法を使ったり、体より大きな剣を振り回したりするような作品が多いライトノベルの世界でも、女性が男性と真っ向勝負し、打ち倒す姿は十分に魅力的だ。そんなことが現実の世界でも起きれば、「藤井フィーバー」も超える大きなうねりを呼ぶことだってできるかもしれない。

白鳥氏 藤井(聡太)先生が出てきて、将棋に興味を持つ子は増えたと思います。ただ、今の制度を変えない以上、プロ棋士の数は増えません。もちろん女流棋士を増やすとしても制度を変える必要はあるかもしれませんが、ファンの母数を増やすためには、女流棋戦を増やすなど、まだ拡張しうるところだと思っています。もっと女流の先生の対局が見られるようになったり、観戦記が書いてもらえるようになったりするといいんですけどね。女性の方が、シンデレラストーリーも生まれやすいと思うんですよ。

 中学生で棋士となり日本中に話題を振りまいた藤井七段の貢献度は非常に大きい。ただ、どうしても人は刺激に慣れる。今後、藤井七段の最年少記録をさらに上回る天才少年が出現する可能性はあるが、それ以上に将棋界のニューヒロインが、男性に勝るとも劣らない実力と、女性らしい華やかさを持って登場すれば、これまでにはない風が吹く。

(C)AbemaTV

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出演者は、<予選A組>、藤井聡太七段、近藤誠也五…です。
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