うだるような暑い名古屋場所を乗り切るには、やはり“名古屋メシ”だ。手羽先、ひつまぶし、味噌煮込みうどん、あんかけスパゲティ、台湾ラーメン…。年に一度の名古屋場所だからこそ、力士たちも“名古屋メシ”を楽しみにしており、また、それぞれにこだわりがあって面白い。その筆頭格はやはり鰻、ひつまぶしであろう。
嘉風は所属する尾車部屋が宿舎を構える愛知県瀬戸市内にある鰻屋が大のお気に入り。たびたび自身のインスタグラムに美味しそうな鰻丼が登場する。昼時は常に行列ができる人気店の鰻丼は、ドンブリのご飯を覆いつくしてなお、器からはみ出るほどのこんがり焼いた鰻が特徴で、画像を見るだけで食欲を大いにそそられてしまう。すでに今年は場所前に「5日連続で行きました」と十分に堪能して“チャージ”も完了。満を持して場所を迎えた。
元大関琴欧洲の鳴戸親方は、知人から岐阜市内にある鰻の名店の話を聞きつけて以来、名古屋から通うほどにハマってしまった。場所中でもお昼時に車で高速道路をすっ飛ばし、鰻を食して帰ってくるという“荒業”も厭わないほどだ。
変わったところでは、佐田の海はたこ焼きがこだわり。たこ焼きと言えば大阪を連想するが、佐田の海は部屋宿舎のある扶桑町から小牧市内のたこ焼き屋まで、車を約30分走らせて食べに行くという。しょう油ベースのたこ焼きにはソースも青のりもかかっておらず、素のままで提供されるというシンプルすぎるものだが、これが他に類を見ない絶妙な味だとか。
魁聖は名古屋発祥の「コメダ珈琲店」のシロノワールの虜になってしまい、以前は場所中15日間通い詰めたこともあった。現在は全国チェーン展開をしている同店だが本人曰く「名古屋の店はパンの生地が違う」とやはり、こだわりがあるようだ。
力士と名古屋メシ。その関係はあまりにも奥深く、力士の美味しさへの探究は尽きることがない。