陸上・十種競技の元日本王者で“百獣の王”のタレント・武井壮が「力士は世界中にリーチできるブランドだと思います」と、相撲の魅力を熱く語った。AbemaTV大相撲中継のゲスト出演時にインタビューに応じると、少年時代に角界入りを真剣に目指し、作文にもその思いをしたためたことを告白。「力士って地球上どこに行っても認知されるところに、一番惹かれるんですよ、相撲レスラーはすごいんです!」と日本が生んだ伝統文化、相撲と力士について力説した。
陸上のトップアスリートになってから相撲の魅力に気付いたわけではない。むしろ幼いころは相撲に心を奪われていた。「千代の富士関や若島津関に憧れていたんですよ。僕は細かったから、ソップ型の力士に憧れて。僕もあんな風になりたいなあと。そう思いながらテレビで見ていて、作文にも将来力士になりたいって書いたくらいですから」と、当時の思いを懐かしんだ。ただ、2012年に新弟子検査の体格検査基準が変わるまで、身長173センチ以上、体重75キロ以上が必要だったため、武井の身長・体重では届かなかった。「今の基準(167センチ以上、67キロ以上)を30年前に作ってくれれば、(相撲の世界に)行っていたのになと思いますね」と、その思いは今も燃え続けている。
幼少期から触れ、憧れた相撲・力士の偉大さが、大人になってさらに分かってきた。陸上選手として、また後にタレントとして日本だけでなく世界を飛び回るようになって、力士の認知度の高さを知ったからだ。「力士を知らない地球人って、結構少ないんじゃないかと思っているんですよ。アメリカ行っても、ヨーロッパ行っても、みんな力士は分かる」と、数ある日本文化の中でも抜群の認知度だと感じている。「どこの国に行っても認知される力士というものが、日本の文化の中で“場所”という大会に出て、横綱というスーパースターに向けて、みんなしのぎを削っている。すごく狭い日本の中で、本当に少ない大きな身体の力士しか活動していないにも関わらず、これだけ世界中にリーチできるものってなかなかないですよ。もうブランドですよね」と、アジアの一国で行われているものとは思えないパワーがあるという。
力士の大きさ、持っている能力や技術の高さ、そしてタレント性。相撲を愛する武井だからこそ、まだまだ活躍の場は世界で広がると確信している。「僕が力士だったらハリウッドを目指すかなとか、横綱になれたらもっと世界で活躍できるのになとか、力士はそういう爆発的な影響力がある存在だと思っているんですよ。いろんな魅力が詰まっていて。だからいまだに子供のころに抱いた夢、憧れがあるんですよ」。日本国内では「競技」ではなく「神事」とされ、力士が街にやって来れば「縁起がいいから」と子供を抱いてほしいと頼む親がいる。そんな特別な存在感も、また力士の魅力でもある。
今ではテレビなどの仕事で親方や力士と共演したり、交流したりすることもある武井。「自分が大人になって、そういう方々と関われたことで、持っている能力や技術のすごさに触れられて、より『無理してでもやっときゃよかったな』って思ったりしますよね」。日々トレーニングを続け戦い続ける男だけに、相撲愛にさらに火がついた今、どこかのアマチュア相撲大会への電撃参戦も十分に起こり得そうだ。
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