国土の75%が「山」である日本。先進国の中でもトップクラスの森林率(森林面積の割合)を誇る森林資源に恵まれた国なのだ。ただ、国内で使われている木材は価格の安い外国産に大部分を占められているため、日本の林業は徐々に衰退、"山では稼げない"というイメージが定着している。
しかし、山で稼ぐ方法は林業だけではない。誰も目をつけなかった産業に着目し、大金を稼ぐ人たちが存在するのだ。17日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、日本の山が持つポテンシャルに迫った。
■「ミシュランガイドにも載っている店から毎日注文が」
ピンクのタンクトップで筋トレに励む風岡直宏さんは、「カブトムシビジネス」で頭角を表した。一晩で200~300匹ものカブトムシやクワガタを採るといい、中には天然での採取が難しいとされるヒラタクワガタも。取材にあたったイケキャスの青峰佑樹はクワガタブリーダーとしても活動しており、「大きい!きれい!挟まれていいですか?」と興奮を隠せない様子だ。
風岡さんがカブトムシビジネスに参入したのは24歳の時。当時ブームになっていたカブトムシを捕まえて販売したところ、なんと1年で3800万円もの売り上げを達成。夢だったフェラーリを購入した。ブームが去った今、カブトムシビジネスでの年間売り上げは200万円ほどだというが、今は別の方法で2台目のフェラーリを所有するほど稼いでいる。
「春にバーンと稼ぐわけ。春の花火みてえなやつよ」。それが"たけのこビジネス"だ。風味が良く、生でも食べられるという"白子たけのこ"で稼ぎまくっているというのだ。白子たけのこは100本に1本程度しか生えないといわれ、値段は普通のたけのこの2倍。「ミシュランガイドにも載っている店から毎日注文が入る。こんな山の中で掘ったたけのこが、東京の店に行ってVIPの舌をうならせる。ドラマがあんじゃん?」。
安定して収穫するのは難しいというたけのこだが、風岡さんは年間300日は山に入り、草刈りや、味が悪くなる古い竹を伐採して新しい竹を育てるなど、徹底した環境整備をすることで安定的な収穫を実現している。「肥料は収穫量を上げるためもあるが、より美味しいものを作るためにも必要」。そうした努力の結果、5本に1本の確率で白子たけのこを生えさせることができるまでになった。
「この町で一番有名な農産物がたけのこだったが、高齢化によってどんどん廃れていった。そこに俺が登場した。"世紀末救世主"よ」。
■コケを拾って、若い女性に人気の"コケ玉"として出荷
世界遺産・東照宮がある日光の山中で、あるものを拾うことで年間3000万円を稼ぐ人もいる。清村汪一さんが「ここに何種類もあるでしょ」と指差した先にあったのは"コケ"だ。
「もともと山なんか大っ嫌い。虫はいるし、おっかない。行きたくもなかった」と話す清村さん。ある時、友達にキノコ取りに誘われ、渋々付いて行ったのがコケとの出会いだという。「たまたまキノコのない山に行ってしまった。でもその代わりにコケがあった」。コケビジネスを始めた最初から「成功する」と思っていたという清村さん。誰も見向きもしなかったコケに価値を見出すと、経営していた飲食店を縮小、山を購入してコケハンターに転身した。
繁殖力が強く、少しでも残しておけば数カ月後に自然に生えてくるというコケ。清村さんは庭園用、インテリアとして若い女性に人気のコケ玉として出荷する。ビニールハウスの中には20種類ほどのコケが所狭しと並ぶが、「明日には全部出荷して無くなってしまう」。今ではコケのために東京ドーム6個分もの山を所有するまでになった。「種類も何も知らなかったけど、今は嬉しい。やっぱり一枚でも多くのコケを世の中に出してやりたい」と語った。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)