
「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。常時受付中です。国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)ご負担いただきます。お問い合わせはDMでもなんでも。飲み食いと、ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます」
そんな奇妙なTweetで仕事を募集する、"レンタルなんもしない人"こと森本祥司さん(34)。AbemaTV『AbemaPrime』の取材班がコンタクトをとって待ち合わせ場所のバーに行くと、ごくごく普通の雰囲気の男性がいた。

「このお店に呼ばれて、ここにとりあえずいて欲しいと言われている状態だ」。この日は客がいないと人が入りにくいというバーの店主の以来で、ただサクラとして座り続けるのが仕事だったのだ。

6月にこのサービスをスタートさせたという森本さんは、阪大大学院を修了して出版社に就職、その後はフリーのライター業で生計を立てていた。「会社勤めが向いていないというか、役に立っていない感じがしていた。フリーになってからもそう。飽き性なので、一つのことを続けることができなくて。長い文章を書くのに疲れてしまった」。収入はゼロだという森本さんだが、実は妻子持ちだ。今は貯金でやりくりしている。

森本さんとは大喜利サイトのオフ会で出会ったという妻は取材に「見た目は好みではなかったが、一緒にいてすごく面白くて、笑わせてくれたりする」と話す。「最初は変なことをしているなと思った。普通に会社に行くことが嫌で、人とは違うことがしたいと言っていたような気がする。私もフリーランスでイラストの仕事を受けるが、家計を支えるほどではない。それでも不安は感じていないし、生活に困っているわけではない」。

森本さんがこのサービスを始めたのは、"プロ奢ラレヤー"こと中島太一さんの存在を知ったことがきっかけだという。「AbemaPrimeに出演していたプロ奢ラレヤーさんを見て、面白そうだなと思った。ずっと何もしないで食っていけたらとずっと思っていたので。需要はあまり期待せず、実験の気持ちで始めた。並んでほしいとか、花見の場所取りとかの以来があると思っていた。相談はちょっと難しそうなので、聞くだけならOK」。
それが今ではリピーターがつくほど依頼が殺到している。「ほぼ毎日依頼がある感じで、2、3件来る日もある。現場では何もしないので、そんなに疲れはこないかなって」。これまで、「散歩に付き合う」「アニメグッズの行列に一緒に並ぶ」「カフェに付き合う」「晩御飯に付き合う」「自宅や仕事場への訪問(ただその場にいてほしいというもの)」といった実績がある。8割方が女性からの依頼で、一緒にいるだけでOKという内容が多いのだという。「今まで嫌だった依頼はない。"性行為の練習台になってほしい"など、危なそうなのは断っている」。

印象に残っているのは、モーニング娘。の武道館ライブに一緒に行く予定だった友達が来られなくなってしまったため、一緒に行ってほしい、という依頼だという。また、食べ放題の焼肉を思いっきり食べたいという女性からの依頼もあった。「友達だと肉に集中できず、一人では入りにくいためレンタルした」と説明された後、お互い何も話さず、ただ黙々と食べたという。

ある日の依頼主は部屋が片付けられないという女子大生だ。部屋を訪ねると、すっかりきれいになっていた。「人が家に来るという用事があると、すごく頑張る」と依頼主。続いて残っていた洗い物を始めるが、森本さんは徹底的に何もせず、部屋にいるだけ。それでも依頼主は「友達だと話したいとかいい思いをさせたいとか、どうしても喜ばせたくなってしまったり頑張ったりするが、頑張らないで片付けできたので本当に満足。また機会があれば利用したいと思う」と笑顔を見せていた。
そんな森本さんの存在を知った中島さんも反応。「明日は、レンタルなんもしない人@morimotoshojiをレンタルして、交通費を支払い、どこかのメシ屋メシを奢り、そして『ごくかんたんなうけこたえ』をしてもらいます」と書き込んだ。そして翌日、「レンタルなんもしない人、すごかった」とツイート。森本さんによると、「面白いね」と賞賛され、カレーを奢ってくれたという。

料金を取らないのも森本さんのこだわりだ。「お金をもらってしまうと、おっさんレンタルやレンタルニートと差別化できない。広告宣伝費でははないが、今は話題になった方がいいかなと考えている」と話す。「貯金であと半年~1年くらいはいけそうなので、その後はスポンサーなどを考える。例えばTシャツや帽子に何か入れたり、ツイッターに企業のアカウントを載せたりと、メディアみたいな利用の仕方があると思う。目標は何も考えていないが、海外から依頼があったら面白い。ニューヨークのアップルストアに並んでもらいたいとか」と展望を語っていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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