K-1の初代-60kg王者にして元K-1王者でもある卜部弘嵩は、このところ苦しい闘いが続いていた。
(試合後、笑顔でツーショットに収まった卜部と高橋)
昨年はK-1王座を奪われ、今年になって開催された、空位となった王座をめぐってのトーナメントでも1回戦敗退。しかし結果が出ない中でも、卜部は自身の力を疑ってはいなかったようだ。
7月22日のKrush後楽園大会。卜部は中国・武林風チームとの7vs7対抗戦に大将で登場した。昨年も対抗戦で敗れており、再起と反撃のリングと言っていい。
しかも、今回のシュエ・シェンジェンとの試合は契約体重が58.5kg。これまで長く主戦場としてきた60kgよりも低い。この試合はフェザー級(57.5kg)への階級転向を見据えての一戦でもあったのだ。
試合は序盤から卜部が優勢。時折り組み付いてしまう場面が気になったが、鋭いジャブとヒザ蹴りで主導権を握っていく。シェンジェンもパンチを強振してくる選手で気が抜けない展開となったが、卜部は最後まで自分のペースを崩さずに判定勝利をものにした。
「復帰戦で動きが硬かったですね。でも最低限の仕事ができたのはよかった」と試合後の卜部。今、最も必要だったのは確実に勝ち星を得ることだったのだろう。また精神的なプレッシャーとして「個人的なこともあった」という。
実は卜部はモデルの高橋ユウと交際しており、テレビ番組の中でプロポーズしたことが話題に。そのオンエアが試合当日だったのだ。この日は高橋もリングサイドで見守る仲での闘い。負けたくないという気持ちはいつも以上に強かっただろう。
階級転向への手応えも掴み、「これからはK-1フェザー級のベルトを目指して突っ走っていきます」と卜部。バックステージでは高橋に勝利を報告し、記念撮影をする場面も。
卜部は人生の節目を迎え、格闘家としても新天地と言えるフェザー級で再出発を果たすことになる。フェザー級戦線として見ても、実績のある選手の参入で活性化することは間違いない。