現在のK-1戦線における注目株の一人が近藤魁成(かいせい)だ。所属は大阪の大成会館。大成、拳成、魁成と3兄弟全員が格闘家で、拳成は一昨年、魁成は昨年、高校生トーナメント「K-1甲子園」を1年生ながら制した。プロデビューも果たした魁成だが、K-1甲子園でも3連覇を目指し今年も出場。7月29日の大会を控え、意気込みを聞いた。
(K-1甲子園3連覇を狙う近藤魁成)
(聞き手・橋本宗洋)
――近藤選手は格闘一家ということで、幼少期から練習してるんですよね。
近藤 お父さんが空手の師範なので、もういつから始めたかっていう記憶もないくらいで。気が付いたら道衣着てました。キックは中学1年からですね。
――家族で頑張ってきたと。
近藤 そうですね。お父さんが大成を教えて、そこからキックをやるってなった時に大成が僕たちに教えるようになって。誰か指導者がおったわけではなくて。3人でやってきました。
――家族、兄弟だからよかったところっていうのはどんな部分ですか。
近藤 他の指導者に教えてもらってたら、そこで形が決まってたと思うんですけど。自分たちで考えてやってきたんで、オリジナルなものができたかなと。
――ファイトスタイルはどうやって作っていったんですか?
近藤 いろんな選手の試合を見まくって、いいところを取り入れて、みたいな。それぞれが考えて、練習でやってみて、アドバイスもらってっていう感じです。
――魁成選手が参考にした選手は誰になりますか。
近藤 最近、意識してるのは卜部功也選手と平本蓮選手ですね。技術的な部分、試合運びとか勉強になります。理想としてはジャブで相手をコントロールして、相手の攻撃をもらわずに自分だけ当てるっていうのを考えてます。それが理想というか、自分に合ってるなって。
――指導者がいたほうが近道だとは思わなかったですか。
近藤 自分たちでやる方が練習も楽しいですね。考えてやるのが楽しいし、練習のたびに課題があるので。何も目的がなくてやるのではないので、そこが楽しいです。教えられるだけよりもいいかなって。
――ちなみに家族、兄弟はどんな関係ですか。甘えちゃう可能性もあるし、家族だから厳しくできるということもあると思うんですが。
近藤 けっこう厳しいですね(笑)。練習中はめっちゃ怒られます。道場に入ると切り替わるっていうか、練習が終わると普通に優しいんですけど。練習中だけは厳しい。
――その切り替えも、子供の頃から染みついてると。
近藤 慣れましたね(笑)。
――それで結果も出てますしね。
近藤 はい、やってることは間違ってないなと思います。
――今年プロデビューしましたが、K-1甲子園の継続出場も決めましたね。
近藤 やっぱり3連覇したいので。誰もやったことがないっていうのが大きいですね。それを成し遂げてみたいです。野杁(正明)もやってないことなので、それを自分がしたいです。できる自信もあるので。
――昨年は1年生で優勝しましたよね。学年の差って関係なかったですか。
近藤 あんまり関係ないかなって最近は思います。もちろん甲子園に出る選手は他の大会よりレベルが高かったですけど。でもどっちかというと、格闘技やってる年数のほうが大きいのかなって。
――そういう意味ではベテランですもんね。今はジュニアからやってる選手も多いですけど、昔から知ってる選手もけっこういたりするんですか?
近藤 何人かはいます。でも違う部活始めたりとか、格闘技やめちゃう人もいるので。続けてる数人が今、注目されてるんだと思います。
――甲子園、連覇を目指す今年は守る側、狙われる側になりますね。
近藤 そうなりますね。でも正直、相手が高校生やったら誰にも負けるつもりはないので。この人に勝つっていうのではなく、3連覇っていうのがモチベーションです。
――来年まで見据えてると。
近藤 はい。だから相手の対策とかもしないですね。お兄ちゃんのアドバイスを聞くだけで。トーナメント表も見てないです。相手がどうこうじゃなくて、自分が強くなる練習をしてきたので。
――ただトーナメント、しかも高校生大会で3連覇を目指すということは、一回も失敗できないというプレッシャーもあるのでは?
近藤 そこは緊張感ありますね。まず今年、絶対取らないと来年はないので。一発勝負のアマチュアはとにかく手数が大事だと思ってます。なので作戦は攻めること。攻めて優勝します。