毎年夏恒例のKrush名古屋大会が、今年は8月18日に開催された。
(見事なKOで名古屋大会を締めたKANA)
愛知県は強豪選手を数多く輩出しているだけに、地元選手中心でもかなりの豪華メンバーになる名古屋大会。なおかつ大会実行委員長・佐藤嘉洋氏は東京と遜色のないマッチメイクをテーマとしている。
今大会の後半戦に登場したのは大和哲也、野杁正明という地元出身のトップファイター。大和は名古屋在住でもある。3月には野杁が保持するK-1王座をかけて対戦した両者だが、今回は中国人選手に揃ってKO勝利。会場の熱気が高まり続ける中、メインイベントには女子フライ級王者のKANAが登場した。
Krush女子戦線を牽引、K-1参戦も果たしたKANAは2年連続での名古屋大会出場。昨年末、ベルト奪還に成功したため、今年はチャンピオンとしてメインイベントで防衛戦という最高のシチュエーションだ。
対戦相手は中国のリュウ・シーベイ。中国武術・散打のチャンピオンだが、KANAは開始直後から圧倒した。圧力をかけてローキック、ジャブを当てると右のビックパンチも。ボディブローも織り交ぜながら多彩な攻撃でリュウを追い込んでいく。
とりわけ効果的だったのが右のボディ。「打ち方や角度を研究してきました」というこのパンチで動きを止め、そこから右フックへ。さらにボディへ右をめり込ませ、ダウンを奪う。
続く2ラウンドにはコーナーで連打。ボディへのダメージを見てミドルキックも使い、最後は左ミドル2連発で挑戦者を完全に沈めてみせた。快勝にして圧勝。メインイベンターの役目を見事に果たす試合だったと言えるだろう。
大和、野杁の連続KOで「泣きそうになって(入場で)フードをかぶりました」と語ったほどプレッシャーを感じていたKANA。しかしそのことで試合に集中することができたともいう。曰く「ガムシャラになりすぎず、落ち着いて相手を見ることができました」。コーナーでのラッシュもただパンチを連打するだけではなく、タイミングを計りながらローキックを散らすといったクレバーさが光った。
勝負所でミドルを使ったことについては、試合に向けて行なったイギリス武者修行の成果だという。約1ヶ月、スパーリング中心の練習の中で「ムエタイ系の相手とスパーリングをたくさんしたので、まず蹴り負けないようにと自然に蹴りが出るようになりました」とKANA。
納得のいく勝ち方ができたとはいえ「まだ練習してきことが出しきれてない。もっと価値のある試合がしたい」とも。チャンピオンにして、誰よりも成長していると言っていいKANA。もちろん再度のK-1出撃も狙っている。
文・橋本宗洋