
23日放送のAbemaTV『橋下徹の即リプ!』に、U12世界少年野球で日本代表を率い、見事に優勝を果たした元木大介氏が出演。高校野球について激論を交わした。
「大変素晴らしく、見ていてとても感動しました。ただ、決勝で金足農業の吉田君の投球が普段と違い、かなり疲れが見て取れるものだったのは心苦しかったです。やはり日程や制度に無理があるのではないでしょうか」。番組に寄せられた視聴者からの意見に同意した橋下氏。「あれだけの投手陣を揃えて、休ませながらローテーブルでやってきた大阪桐蔭と、吉田投手が一人で投げ続けた金足農業を一緒の土俵に上げるのかと思った。それは美談にはなるかもしれないけれど、それで終わらせちゃいけないと思う」と問題提起した。

すると元木氏は「それが感動を生むんです。あのスーパースター軍団に挑む金足農業を応援する。負けるかもしれないけれど、いい試合してくれと。選手も校歌を歌うとき反ってたじゃないですか。もう感動じゃないですか。"力尽きたな"というのも途中からわかったんだけど、それでもまだ投げる姿がいいじゃないですか」と主張。プロ野球や、そしてメジャーを目指すことを考えた時に、「しょうがないと思う。確かにキツいんですけど、そのくらいの筋力や投げ込みができなければ厳しい。松坂投手だって大谷選手だって、みんな投げてきた」との認識を示した。

これに対し橋下氏は「今日はしこたまスポーツ科学論の本を読んできた(笑)」と徹底抗戦の構えを見せ、元木氏が指揮を執ったU12の世界大会でも投球制限が導入されていたことを挙げ、「吉田投手は800球以上、地方大会も合わせたら1500球以上。U18世界大会でも1試合の上限が105球で、しかも4日間空けないと行けない。それに比べたら、暴力沙汰じゃないのかな。甲子園虐待、甲子園ハラスメントだ。アメリカなどでの科学的な研究に基づけば、球数の上限や適切な休養日を設ける必要があるのではないかと重ねて訴えた。

それでも元木氏は「ピッチャーの強いチームはいいが、金足農業のように地元出身の子だけで頑張っているチームの場合は2試合目、3試合目でレベルが落ちてきてしまう。それまでやってきたことを思うと、子どもたちもかわいそうだ。投げられるんだったらとことん投げてもらってかまわないと思う。もちろん自分が無理だなと思ったら手を挙げる。とくにトーナメント方式で一つ負ければ終わりの高校野球では、"限界です"って言いづらいと思う。だから良い時、悪い時を監督はやっぱり見ていないとダメ。指導者は"今日は厳しい"と思ったら休ませてあげることだ。ただ、あそこまで行って吉田君にストップをかけるのは辛いと思うし、本人も投げたいという思いがあったはずだ」と反論。

さらに橋下氏が桑田真澄氏も球数制限を主張していることに触れると、「解説を聞いてても、僕らが入った頃の桑田さんと違うなと思った。メジャーに行くと、そこまで変わるのかなって(笑)。元々マイペースな方で、高校の頃から自分でコントロールが出来ていたのだろう」とコメント。必ずしもアメリカのやり方が正しいとは言えず、画一的な基準を設定することに否定的な見方を示した。
「日本ではオフシーズンの時期も色々な国で試合をしていて、休むことはない。その一方、練習はいきなりキャッチボールから始まるような感覚で、練習量が少ない。松坂投手も岩村投手も、ランニングも減っているので太ってしまった。体型を維持した松井選手やイチロー選手は自分で日本と同じスタイルで管理していたと思う。大谷選手も投げ込みができてない分、肩が軽すぎる部分があると思う。野球って、いわば10回中7回は失敗できるスポーツで、普通は2割5分くらい。それだけミスをするということは、正解が無いということ。"俺の言うことが聞けないのか"というコーチもいたが、"何言ってるんだろうこの人は。あなたはそれで成功したかもしれないが、我々は違う"と思っていた。吉田君みたいな子もいれば、毎日投げられない子もいる」。
■「高校球児に"京セラドームでやりたい人!"って聞いても、誰も手を上げないと思う」
橋下氏の疑問は、高校野球のあり方そのものに及んだ。もし自分が金足農業の監督だったとして、ピッチャーが4、5人いれば吉田投手を休ませたと思うと話す元木氏に、橋下氏は"合同チーム制"を提案した。

「高野連なんかは猛反対すると思うけど、ラグビーの場合は競技人口が少なく、学校単位でチームが作れないので、合同チームでやることもある。これから野球人口が減っていった場合、各学校で選手を揃えられなくなるという問題が出てくるのではないか。そうであれば、1チームあたりピッチャーは4、5人揃えなければならないというルールを設けたり、Jリーグのようなクラブチームまで行かなくても、学校単位という考え方を変えないといけないのではないか」。

これに対し、元木氏は「休みがあれば、投手のパフォーマンスは上がる」との認識を示しつつ、「中学で頑張って憧れの高校入りたいとか、逆にそこからお誘いがきたときの嬉しさっていうのは、やっぱりある」とコメント。現行の春・夏の大会をやめ、ドーム球場を使って大会を通年で実施すべきだという橋下氏の案に対しては「当然、春・夏でやってほしいですよ。場所も当然甲子園で」と反論。「大学野球は神宮球場ですが、あそこも人工芝で熱くなるので、全部ドームにしなければならなくなる。汗かきながら、かちわり飲みながら、暑いなーってタオルで拭いながら応援して感動をもらうってのは、東京ドームでは味わえないと思う。でも、高校球児に"101回目の甲子園は京セラドームでやりたい人!"って聞いても、誰も手を上げないと思う。負けて人工芝を抜いて帰るんですか?(笑)。人工芝は要らないでしょう!」と議論は平行線を辿った。

「100年の伝統を受けての洗脳を受けてるから、今から逆洗脳で"甲子園はほんまあかんねん"ということを小学生くらいから言ってたら変わるん違うかな」とボヤいた橋下氏。「僕は一人でも戦うよ(笑)」とし、「高校球児も元木さんも、朝日新聞・毎日新聞の営業ツールに使われてきたんですよ。テレ朝も朝日放送もバンバン流して視聴率稼いでる。高校球児に出演料を払わないと。どこに放映権料とCM収入は消えてるんですか」と、メディアに対しても苦言を呈した。(AbemaTV/『橋下徹の即リプ!』より)







