国会議員票の8割を超える329票を獲得した安倍総理の圧勝に終わった自民党総裁選。劣勢が伝えられてきた石破元幹事長だったが、直前には追い上げを見せ、当日には小泉進次郎筆頭副幹事長が支持を表明。投票後には「違う意見を押さえつけるのではなくて、違う声を強みに変えていく。そんな自民党でなければならない」とコメントしていた。
20日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演したテレビ朝日政治部の細川隆三デスクは議員票について「我々が取材して想定していたよりも20人くらい多く石破さんに流れた。"安倍さんを支持"と言っているけれど実は違うという、いわゆる"隠れ石破"の存在が終盤になってわかってきた。石破陣営も確実に支持してもらおうと、いろいろなお願いをしていた。それでも我々は"隠れ石破がそんなにいるのかな"と思っていた。こんなに居るとは思わなかった。予想が外れた。進次郎氏の影響を受けた若手もゼロではなかったと思う」と明かす。
「自民党にはバランス感覚のようなものがあり、圧勝が伝えられると判官贔屓のように票が入る。小渕さん圧勝と言われた総裁選でも同じ派閥の梶山静六さんに3桁の票が入り、我々も相当驚いたことを覚えている。もう一つは、やっぱりモリカケ問題に始まる安倍総理への批判があるということ。実はお昼に各陣営でカツカレーを食べて候補者を送り出すというイベントがあるのだが、安倍陣営の国会議員の数がちょっと少なかった。そこで感づいている人もいたと思うし、総裁選が終わった安倍総理がちょっと渋い顔をしている印象を受けた。これだけ議員票が離れることを想像してなかったのではないか」。
選挙戦終盤では、斉藤健農水相による、"安倍陣営からの圧力"発言も波紋を広げた。細川デスクは「あの発言については両論ある。もし本当だとすれば言った方も言った方だし、言われた方も、ああやって公の場でいうのはどうだろうと。そして、安倍陣営の中でも"それはおかしいと"言う人と、"安倍内閣にいて石破さんを支持するなら、辞表を出すのは当たり前じゃないか"と言う人もいる。この点は後味の悪い総裁選だったなと思う」とコメントした。
また、注目されていた党員票では安倍総理の224票に対し石破氏は181票と、かなりの肉薄を見せた。石破氏も開票後「やはり党員が市井の方々であり、国民に近いということを我々としては認識をしたいなと思っております」と、手ごたえを感じさせるような敗戦の弁を述べている。
細川デスクは「石破さんは負けた人の顔ではなかった。清々しく、まるで勝った人のような印象を受けた。焦点だった党員票について安倍陣営は7割の獲得を目指してきたが、選挙戦が始まると目標がどんどん下がり、最終的には勝敗ラインの55%にしていた。実際の得票率は安倍さんが55%、石破さんが45%。ギリギリだった」と説明。
「確かに石破さんは"これじゃいかんよね"という批判で終わっている部分があるし、経済政策がウィークポイントだとも言われている。実際、そこも含めて具体的な政策提言はあまりなかった。ここが課題だと思う。ただ、石破さんは地方を大事にするとキャッチフレーズのように言っていた。これは農林水産業や弱い立場に置かれている方々には響いたと思う。もちろん、安倍さんへの批判も根強くある」。
3選を果たした安倍総理は「自由民主党の立党の精神である、すべてが国民のため。これからみんなで一致協力して、力を合わせて、新しい日本を皆さんつくっていこうではありませんか!」と呼びかけ、記者会見でも「国難とも呼ぶべき少子高齢化に立ち向かい、激動する国際情勢の荒波に立ち向かっていく。そして70年以上一度も実現してこなかった憲法改正にいよいよ挑戦し、平成のその先の時代に向かって新しい国づくりに挑んでいきます」と訴えた。
今後について細川デスクは「安倍さんとしては政権運営が結構厳しいし、来年には参院選もある。"安倍おろし"が始まらないよう、本当は完膚無きまでにやっつけたかった。しかし石破さんがこれだけ健闘したので、今後の人事は相当悩ましいと思う。少なくとも石破さんや石破派の人たちを重用しようとする姿勢は見せないといけない。入閣を打診する可能性もあると思う」との見方を示し、今回不出馬の決断をした岸田文雄氏の名前も挙がる"ポスト安倍"についても「次の総裁選には安倍さんは出てこないので、石破さんとしては当然、"次"を意識していると思う。そこは石破さんのイメージどおりで、完全に一番手になったと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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