どんなに将来有望な逸材でも、壁にぶつかるときは必ずやってくる。今年初場所で初土俵を踏み、各段を1場所で通過して今場所が新幕下の納谷も、今がその時期なのかもしれない。初日は白星発進となったが、その後は連敗でプロに入って初めて黒星が先行。3連敗は免れたものの、その後も白星が伸びずに苦戦した。
同期生でライバルの豊昇龍も新幕下で初日から3連勝と幸先の良いスタートを切ったものの、勝ち越しを懸けた相撲で3連敗。ともに3勝3敗となった両者は今場所最後の相撲で、序ノ口だった春場所以来となる対戦が組まれた。
プロ入り後の2人の対戦成績は前相撲を含め、納谷の2戦2勝。3度目の対戦となった今場所も納谷が左四つで一気に土俵際まで寄り立てた。絶体絶命のピンチに陥った豊昇龍は右を相手の首に巻いて捨て身の首投げにいく。これが見事に決まって納谷の巨体がきれいに裏返った。観客はまだまばらであったが、ホープ同士の大熱戦に客席からは大きな拍手と歓声がしばらく鳴りやまなかった。
“3度目の正直”で初めてライバルから白星を挙げた豊昇龍は「うれしいです。一昨日から(対戦相手が)納谷じゃないかと思っていた」と終始、興奮気味。一方、入門以来、初の負け越しを経験した納谷は「勝たなければいけないところで勝てなかった」と下を向いた。来場所は三段目への陥落が決定。豊昇龍はさらに自己最高位を更新することになり、ライバルで明暗が分かれた。
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