9月24日のK-1(さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナ)で、武尊、武居由樹の2大王者やクルーザー級トーナメントに負けない注目を集めたのが芦澤竜誠vs小澤海斗のワンマッチだ。
前Krush王者の小澤に対し、芦澤は新鋭たちがシノギを削るKHAOSにも参戦した叩き上げ。両者とも今年6月に開催されたK-1フェザー級王座決定トーナメントに出場。その時から喧嘩腰の舌戦を展開していた。
しかし小澤は一回戦敗退、芦澤も準決勝で敗れ悔しい結果に。両者の対戦も実現していない。そこで試合後、芦澤がツイッターで小澤に対戦を呼びかけ、今回の試合が決定している。
お互いの奮起、再起を促すような対戦要求に思えたが、芦澤によれば小澤を「どん底に落とすため」のアピールだったという。「これで負けたら終わりですよ、あいつ」と試合前の芦澤。
会見、さらに前日の公開計量でも乱闘騒ぎになるなど試合に向けて両者をめぐる雰囲気は喧嘩としか言えないものに。意地と意地、一歩も退けない闘いだ。
そんな試合で、芦澤は持ち前の強気な闘いを見せつけた。伸び盛りの選手らしいイキのいい動きからパンチをヒットさせて1Rからダウンを奪い、続けてハイキックでも小澤をダウンさせる。
その後も小澤に効果的な反撃を許さず、芦澤が主導権を握ったまま試合終了。3-0、誰の目にも分かる判定勝ちだった。
試合直後には「倒せなかったことが心残り」と語っていた芦澤。一方、小澤は今後について「考えます」と複雑な心境を語った。
さらに試合一夜明けの会見では、芦澤が「今までで一番楽しかった。小澤選手が相手だから盛り上がった」と小澤を称えるコメント。格闘家らしく「殴り合ったから分かり合う部分もあります」と言う。さらに小澤に対して「這い上がってきてほしい。もう一回試合したいですね」というエールも。K-1史上に残る大喧嘩は、こうしてノーサイドとなった。
芦澤自身、相手を挑発することでリスクを背負っての闘い。負けたら終わりという思いもあった。そんな闘いを乗り越え、ファンにインパクトを残したことで、あらためて出世街道に乗ったと言っていいだろう。
試合に向けた練習もあり「夏、遊び足りなかった」という芦澤はここからたっぷり遊ぶつもりのようだが、年内にもう1試合したいと考えているようだ。その舞台、相手はどうなるか。「喧嘩を売りたい相手がいる」とも語っているだけに、気になるところだ。