将棋ファンにとっては「ついに時代が到来したか」という印象が強いかもしれない。将棋の豊島将之棋聖(28)が9月26日、菅井竜也王位(26)との王位戦七番勝負を4勝3敗の成績で制し、王位のタイトルの奪取に成功、「豊島将之二冠」が誕生した。それまで8つあるタイトルを8人が1つずつ持ち合う群雄割拠の状況だったが、豊島二冠がその中を一歩抜け出た格好だ。
 「豊島?強いよね」。佐藤紳哉七段が、NHK杯で対戦する際のインタビューで答えたことが当時話題となったが、将棋ファンなら誰しもが口をそろえて「豊島は強い」と、明言できる状況になっている。2007年4月、16歳で四段昇段を果たしプロ入りしたが、そこから毎年度7割前後の勝率をキープ。プロデビュー直後に高い勝率を誇る若手棋士は数いるが、各タイトル戦の上位組で、トップ棋士たちと対局を繰り返す中、昨年度の勝率0.710は驚異的でもある。段位や勝率とは別に「レーティング」と呼ばれる現在の実力を表す指標を出しているファンもいるが、どれを見ても豊島二冠が最上位かそれに次ぐ数値であるものばかりだ。