「いつ人生が終わっても不思議はないところに来てますから。悔いのないよう、このMリーグという舞台で踊りきれたらいい」とは、初代Mリーガー21人の中では最年長プロ雀士となる前原雄大(連盟)の言葉だ。10月1日に開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」を前原は自身の「ラストダンスの場」のごとく受け止めている。
1981年に設立された日本プロ麻雀連盟の一期生であり、数々のタイトルを獲得してきてなお精進を怠ることはない。それは現在も日本プロ麻雀連盟の最高峰タイトル・鳳凰位(第12、25、33、34期と4度目)という座にいることでも証明されている。その強さの秘訣は「稽古量はこれまでと変わりません」と月平均200半荘以上は打ち込む稽古量によって支えられている。稽古とは、頭で麻雀を打つのではなく、体全体で麻雀を打っているのだ。
まさにレジェンドプロなのだが「ドラフト指名を頂いた以上、Mリーグだからというのではなく、これまで培ってきたものをいかに出していくのかがMリーグの発展につながる」と確信し「自分の中で何かを変えていかなければいけない」とさらなる進化を遂げようとしている。
そしてドラフト以降、何ができるのかと自問自答し「すべては日常にあり」と行き着いた。そこで日常生活を律するため、何があっても毎朝5時に起床し、とにかく散歩に出ることを己に課した。自然と融合する時間をルーテインとして取り入れることで発見も増えた。「若い頃は知らない花はほとんどなかったんですが、名前も知らない花に出会うこともあるんです」と目を輝かせた。ちなみに前原の好きな花はカスミソウ。花言葉は「清らかな心」「無邪気」「親切」「幸福」だそうだ。
「KONAMI 麻雀格闘倶楽部(コナミマージャンファイトクラブ)」のチームカラーは、攻撃力と結束力。攻撃力に関しては「とにかく攻撃力を10なり100なりにして、守備って何?という次元に行けたら」とただの勝利ではなく、圧勝を目指す。結束力においては、佐々木寿人(連盟)がプロ入りを決意したきっかけが、前原の力強い麻雀を目の当たりにしたことだったこともあり、2人の信頼関係は揺るぎないものがある。さらに高宮まり(連盟)に対しても「よそ行きの服は着てくるな。普段着の服で行こうぜ、後は俺らがなんとかする」と体が空いているかぎり、自分の対局でなくても会場に行ってサポートするつもりだ。
「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追いかえせ」。日本経済の近現代で最大最強の功労者である実業家、渋沢栄一の名言である。ということは、61歳の前原は、プロ雀士としてまさに働き盛り。「些細なことでも自分を律する。詰まるところ、その人のプロとしての姿勢だったり、プロとしてのあり方を考えていくことなのでないか」と佐々木と高宮の精神的支柱としても、大きな背中で引っ張っていく。【福山純生(雀聖アワー)】
◆前原雄大(まえはら・ゆうだい)1956年12月19日、東京都生まれ。A型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第12、25、33、34期鳳凰位、第14、15、24、25、26期 十段位。第3・8期麻雀グランプリMAX、第7、9回モンド名人戦、第8回モンド王座他。著書は「麻雀 何が何でもトップを取る技術」他。異名は「地獄の門番」。
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