安倍首相は先月26日、耳慣れない「日米物品貿易協定(TAG)」の交渉を開始することでトランプ大統領と合意した。
 背景にはアメリカは輸入車の関税を2.5%から10倍の25%に引き上げることを検討していることがあり、これが実現すれば日本のメーカーにとっては2兆円余りの関税コスト増となり、利益の半分が吹き飛ぶという試算もあった。今回、日本側が譲歩する形で二国間新協定「TAG」の交渉開始に合意したことで、ひとまず自動車関税引き上げについては当面回避された。一方、アメリカは農産物も標的にしており、特に牛肉に関して大幅な関税引き下げを求めている。TPPに加盟しているオーストラリア産牛肉の関税は将来9%に引き下げられるが、TPPを脱退したアメリカ産牛肉は38.5%という高関税のままでは競争が困難になるため、他の農産品とともにTPP水準まで引き下げるように迫ってくるとみられている。