“平成最後の夏”が過ぎて、1カ月あまり。特別な“夏の一日”をテーマにしたある写真展が、いま話題になっている。撮影者は全員“平成生まれ”で、撮影に使われたのは“昭和生まれ”のあのヒット商品だった。
会場に並ぶ、淡い色合いが印象的な写真。東京・渋谷で2日から開催されている「平成が終わルンです」には、今年の8月31日、つまり“平成最後の夏”の1コマを「写ルンです」で切り取った写真が飾られている。なぜいま、フィルムカメラの「写ルンです」なのか。
「有名モデルさんや有名写真家ではないところが一つのポイント。平成生まれの人たちが、昭和の代表機である『写ルンです』を使って撮っているギャップ、しかも平成が終わるというテーマを撮っているところが面白いと思う」（主催者の1人・稲沼竣さん、27歳）
2016年に発売開始から30年の節目を迎えた、レンズ付きフィルムの「写ルンです」。デジタルカメラやスマートフォンのように自由自在に画質や風合いを変えることはできないが、平成生まれの若者を虜にしている。写真展を訪れた人からは次のような声があがる。
「フィルムカメラの質感がすごく好きなので、単純に楽しい」（23歳・男性／美容師）
「普通のスマホのカメラと違って、写真がすごく楽しそうだなと思う」（17歳・男性／高校生）
「高校生が写っている写真とかカワイイなあと」（21歳・女性／美容師）
女性が気に入ったと話したのは、学校で無邪気に笑う女子高校生の写真。実は、被写体だけでなく撮影を行ったのも高校生だ。大切な友人との思い出を写真に収めた高校2年生の成瀬凛さん（16）は「自分らしい夏を撮りたかった」と話す。
また、「母に撮ってもらったんですけど、（画角）がズレているというか。“母親が撮った感じ”が出ていていいなと思いました」と写真を指差すのは、大学生の鎌田龍太郎さん（19）。母親の提案で鎌田さん、母、祖母の3人の写真も撮影。さらに、他の人は誰と何をしているんだろうと思い立ち、繁華街の一コマも切り取った。
「平成最後の夏を通して、人とのつながりや家族とのつながりが正確にできたというか。人生で一度しかない10代最後の夏、自分が過ごした10代最後の夏を少しでも切り取って、写真として思い出に残したいという思いがあった」（鎌田さん）
鎌田さんにとって、平成最後の夏は“10代最後の夏”。自分自身の大切な1分1秒を思い出に残すためには、写真1枚1枚に重みがある「写ルンです」がふさわしかったようだ。「デジタルカメラは何百枚、何千枚も撮れてしまう。『写ルンです』は枚数が限られているので、1枚1枚に重みがあるというか、（フィルムを）回す時に1枚1枚大切に撮らなきゃという気持ちになります」と鎌田さんは語った。
なお、写真展「平成が終わルンです」の開催は10日までで、無料で入場することができる。
（AbemaTV／『AbemaMorning』より）
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