2011年11月にサービスが開始されたGoogle+は、Google検索やYouTubeなど、関連サービスとの連携やサードパーティアプリのログインに活用され、AKB48グループのメンバーや秋元康氏ら関係者が使っていたことでも知られていた。
発表を受け、ネット上の反応は
「しばらく使ってたけど、最近見てなかったな」
「AKBの総選挙コラボくらいがピークだったからな。しかもあれ6年前くらいか」
「今ではすっかりゴーストタウンとなり廃れてしまったぐぐたす。やっぱり無くなると思うと一抹の寂しさを感じる」
「Twitterとか流れが早すぎて疲れるし、Facebookは過去のお付き合いまで拾ってくるしで面倒臭い。SNS難民な気分w」
と様々だ。
ITジャーナリストの三上洋氏は、「当初は複数人でのテレビ会議も可能な『ハングアウト』というビデオ通話機能が便利だったが、別のサービスになってしまった。また、Instagramもそれほど流行っていなかったし、アルバム機能など写真共有機能は良かったが、これもGoogleフォトという別サービスになり、Google+は機能が骨抜きになっていってしまった。どういう風に使っていたのか周りに聞いてみたら、やはりアイドルのページを見ていたという声が多かった。ただ、アクティブなユーザーはあまりは多くないので、かえって中規模クラスのホテルのラウンジみたいで、コミュニティ活動には便利だった。Ingressのコミュニュティなど、非常に濃いものがあることでも知られている」と話す。
リディラバ代表の安部敏樹氏が「SNSはGoogleにとって"鬼門"で、株主総会でも突っ込まれていた」と指摘するとおり、Googleは同じSNS分野で「Orkut」など、多くのサービスをリリースしては撤退を繰り返してきた。三上氏も「すぐに流行っているものの二番煎じをして、様々なサービスに手を付けてはやめることを繰り返してきた。お金を持っているし、そこそこのものは作るが、命がけではやらない。だからユーザーも食いつかない」と手厳しい。拓殖大学非常勤講師の塚越健司氏は「良く言えばたくさんの挑戦をするということ。結果としていくつかのサービスは生き残っている。どんな巨人も水面下で、色々なことを試している。他方、大きなサービスはセキュリティの対応など、保守点検が大変だ」と説明した。
■「GAFA批判」を恐れた可能性?
GoogleはGoogle+閉鎖の発表と同時に、最大50万人分の個人情報が流出する恐れがあったことを今年3月に把握していたことを明らかにしている。しかも第三者が個人情報を見られる状態が2年以上も続いていたにも関わらず、「データの悪用を示す証拠が一切なかった」として公表を伏せていたのだ。これについて『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、関係者の話として「企業イメージの低下や規制強化を恐れ、Googleが隠ぺいを図っていた」と報じている。
三上氏は「実際に起こっていたのは、ある方法で見にいくと名前、メールアドレス、職業、性別、年齢ぐらいが閲覧できる状態だった。Facebookのケースのように、政治的な考えや誰と誰が友達か、電話番号といった情報は含まれていない。また、Googleの調査によれば悪用された気配はないということで、"大したことではない"と判断して発表しなかったのかもしれない」と話す。
塚越氏は「Google、Amazon、Facebook、Appleという4つの巨大企業を指す"GAFA"という言葉があり、世界を牛耳るのではないかと批判的に見られがちだ。Googleが流出の恐れに気付いたとしている3月ごろは、ケンブリッジ・アナリティカ社にFacebookの個人情報が渡り、米大統領選挙の情報操作に使われたということが問題になった時期。個人情報流出はIT企業にとってとてもリスキーなことで、先日もFacebookが叩かれた。それを恐れ、公表を遅らせたのではないか」との見方を示す。
「データは非常にお金になるし、あまり規制されたくないというのがIT企業の本音。しかし、個人データを企業が使ってしまうことで問題も起きるし、政治に使われる可能性も出てきた。また、SNSのせいでヘイトによる憎悪が世の中に広がり、トランプ大統領の誕生も含めて、ネットのせいで世界がおかしくなっていると考え始める人も増えた。SNSを運営する企業としては政府に介入されたくないが、TwitterもFacebookも憎悪表現の取り締まりや、規制の受け入れの方に動き始めている」。
その上で、三上氏も塚越氏も、GoogleはSNSを諦めてはおらず、再び新たなサービスで挑んでくる可能性は十分にあると話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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