12月8日、新生K-1初の大阪大会が、エディオンアリーナ大阪・第1競技場にて開催される。
(「前にもんじゃ焼いてたみたいやから」と大阪土産にお好み焼き用のコテを用意してきた皇治だが、武尊は払い飛ばした)
若い世代を中心に人気の新生K-1が、首都圏以外で初の開催。事前の期待感も高く、カード発表前から7割ものチケットが売れてしまうという状況だった。これは、9月大会の結果を受けて武尊vs皇治の対戦が実現すると見られたことも大きいだろう。
10月13日には、大阪で対戦カード発表会見が実施された。ファン公開形式で行なわれたこの会見には、会場に入りきれないほどのファンが集結。これまででも屈指といえる盛り上がりの中で、ついに武尊vs皇治が正式発表された。しかも武尊が保持するスーパー・フェザー級のタイトルマッチだ。
(ついに決定した武尊vs皇治の一戦。12.8大阪大会で実現する)
武尊は、言うまでもなく新生K-1最大のスター選手。前人未到の3階級制覇を達成、高いKO率を誇り、あらゆる面で今のK-1を引っ張る存在だ。
そんな武尊に、以前から対戦要求してきたのが皇治。対戦相手に「防御用」ヘルメットを用意するなど毒舌、ビッグマウスで挑発することで話題を呼んできた選手だ。と同時に、着実に結果も出している。
3月のスーパー・フェザー級トーナメントではベスト4となり、1回戦で元王者の卜部弘嵩に勝利。9月には、武尊戦実現への最終関門と言えるスタウロス ・エグザコスティディスとの一戦も(僅差の判定ながら)クリアしてみせた。そして決まった地元・大阪での武尊戦。ここまでは見事に有言実行である。
K-1でもよく見られる挑発や舌戦、時に起きる乱闘騒ぎは格闘技の本質とはまったく関係のないもののはずだが、とはいえやはりファンやその外側の一般層にも響くものがあるとは言えるだろう。
(会見では山崎秀晃vs安保瑠輝也、安保璃紅vs朝久泰央という好カードも発表)
会見には皇治の応援団も詰めかけ、皇治登場時にはコールが発生するほど。その人気は武尊に負けておらず、むしろ皇治のホームとも言える状況だった。
「大好きな大阪に、K-1とタケポン(武尊)持って帰ってきたで」と皇治。さらに武尊について「ダサい、センス悪い、とんがりコーンみたいな頭してる」と挑発。「大好きな大阪で大好きな仲間と、コイツのすべてを奪いにいく」という宣言も。皇治は皇治でK-1、さらには格闘技界を盛り上げようという気概がある。
しかし、K-1のエースとしての自負では誰にも負けていないのが武尊だ。皇治の挑発にイライラを隠せない様子だったが「僕のすべてを奪うって、これまで僕がどんな覚悟でやってきたか知りもしないで。コイツにK-1は背負えない」とバッサリ。
実際、新生K-1の大阪進出も武尊がいてこそだろう。これまでの実績を比べれば、武尊のほうが圧倒的に上だ。ただ皇治は「9割無理やろって言われたことが、こうして現実になってる」とし、試合でも勝つ可能性が1割あれば充分だという。
武尊にはチャンピオンとして、エースとしての覚悟と自負があり、皇治には追う者の強み、地元の声援がある。明確な対立軸を持った試合だけにスリリングであり、会見から2日後には「前売り分チケット完売」のアナウンスが主催者からあった。
これほどの売れ行きはレアなケース。大阪のファンの熱気は異常なレベルに達している。こうなると試合がどれだけの興奮と緊張感の中で行なわれることになるのか、想像もつかない。まさに大勝負だ。
文・橋本宗洋