これが“麻雀IQ220”と称される男の決断力だ。10月25日に行われたプロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」。その2回戦のオーラスで、EX風林火山の勝又健志(連盟)が“究極の2択”を迫られた状況で見事に正答を導き出して倍満をアガリ。麻雀ファンの度肝を抜いた。
上位4チームの対決となったこの日の2回戦。南4局を迎えた段階で、勝又の持ち点は-4400点の4着と非常に苦しい状況だった。9300点で3位の赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)とは1万3700点差。ラス回避のためには村上への満貫直撃か跳満以上のツモアガリが求められる1局で、非常に難しい2択が勝又に突き付けられた。
テンパイ時の勝又の手牌は、ドラの4索をツモったことで1索から9索が揃ったピンフ系。7索を切って4・7筒待ちのリーチをかければ一気通貫が確定し、リーチ・ピンフ・一気通貫・ドラで満貫、ツモれば跳満の条件に届く。一方、7筒を切れば1・4・7索の3面待ちになるものの、一気通貫になるのは7索のみ。確定する役もリーチ・ドラのみとなり、アガリ牌の多さと裏ドラに賭ける形になる。
ここで長考に入った勝又。“麻雀IQ220”の脳内にさまざまな考えが駆け巡る。中継の解説を務めていたセガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)は「一気通貫を確定させたいような気もするんですけど……」と語り、視聴者のコメント欄も7索切りのリーチという声が優勢な状況。しかし約40秒後、勝又の「リーチ」の声とともに捨てられたのは7筒だった。
決断のポイントは、3位を争う村上が先にリーチをかけていたこと。この供託の1000点によって、ツモアガリの場合の逆転条件が跳満から満貫に緩和されていた。そこで勝又はじっくりと山を読み、満貫に届かないリスクを背負ってでも4・7筒待ちよりもアガリの可能性が高い索子の3面待ちを選択したのだ。
1巡後、この勝又の決断が報われる。勝又が一発でツモったのはなんと高目の7索。さらに裏ドラも7索で3枚乗り、リーチ・一発・ツモ・一気通貫・ドラ4の1万6000点(供託1000点)という文句なしの大物手に仕上がった。
あえて満貫の手を見切った勝又の決断、そして劇的すぎる結末に、視聴者からは「すげえええ」「勝又かっけえ……」「天才にもほどがある!」「これがIQ220か」といった驚嘆のコメントが殺到。解説の魚谷も「なにこれ……」と絶句しつつ、「鳥肌が立ちました。素晴らしい。なかなかあの待ちにできないですよ」と力を込めて最大限の称賛を送っていた。
土壇場の倍満で3着に浮上した勝又は、ここまでの5試合で4着回避率が100%と安定した成績を残している。3着と4着の差が20ポイント(点数に換算すると2万点)ということを鑑みると、このスーパープレイには3万6000点、つまり子の役満以上の価値があったと言っても過言ではない。Mリーグではいまだ未勝利の勝又だが、この日のような闘牌を続けていけば初勝利も決して遠くはないだろう。
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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