10月28日に開催されたKrush後楽園ホール大会、そのメインイベントはバンタム級(-53kg)のタイトルマッチだった。
チャンピオンは金子晃大。挑戦者は隼也ウィラサクレック。どちらも21歳と若い選手だ。しかし実力は一級品。10歳からムエタイを学んできた隼也に対し、金子はキャリア6戦目(全勝3KO)でチャンピオンになっている。
金子にとっては今回が初防衛戦。他団体でベルトを巻いてきた隼也は難敵に思えた。パンチ主体の金子のファイトスタイルは、蹴りを使いこなすムエタイベースの隼也に持ち味を殺されてしまう危険性もあった。
視界が始まると、いきなり隼也が強烈なローキックをヒット。その後も右ロー、左ミドルをハイテンポで繰り出していく。
しかしテンポのよさ、スピードでは金子も負けていない。得意のパンチに加え前蹴り、ヒザも効果的。ほとんど早送り状態のような攻防の中、1ラウンドは金子が確実にダメージを与えていった。
そして勝機を逃さず、2ラウンドに入ると一気にラッシュ。顔面へのヒザからパンチ連打、左のボディフック、そしてヒザ蹴りでダウンを立て続けに奪い、3ノックダウンのKO勝利で初防衛戦を飾った。
スピード、攻撃の幅、戦況を読み取る感覚など、さまざまな面で成長ぶりを見せた金子。これでまだプロ7戦目なのだから驚くしかない。キャリアを考えれば、まだまだ伸びしろはあるだろう。となるとどこまで強くなるのか。末恐ろしいチャンピオンだ。
ただ試合後のマイクは「あの~、今日のKrushはKOが多かったんで、え~、(自分も)KOじゃないとヤバいなと思いました」となかなかの初々しさ。このあたりはまだ若手という感じで、試合中に見せる強さとのギャップも金子の魅力と言えそうだ。