11月3日、さいたまスーパーアリーナ・コミュニティアリーナで行なわれたK-1スーパー・ライト級王座決定トーナメントは、ムエタイ戦士ゲーオ・ウィラサクレックの優勝で幕を閉じた。
このスーパー・ライト級(-65kg)王座は、新生K-1で初めて制定されたもの。ちょうど4年前、2014年11月3日のトーナメントで優勝し、初代王者となったのもゲーオだった。
その後も盤石の強さを誇っていたゲーオだったが、昨年6月に野杁正明に敗れ、王座陥落。さらに今年3月には平本蓮にKO負けを喫してしまった。今回は再起をかけた、崖っぷちの闘いだったと言える。
第3代王座をかけてのトーナメント、ゲーオはいきなり特大のインパクトを残す。一回戦で大和哲也にハイキックでKO勝利を収めたのだ。大和も「警戒してはいたんですが……」と呆然とするしかなかった一撃。それだけゲーオの動きがキレていたということだろうか。
この一回戦でエンジンがかかる前に勝ってしまい、準決勝には苦労したというゲーオ。相手は4年前の決勝戦で闘った左右田泰臣だ。試合後の左右田も語っていたが、練習をともにしたこともある両者だけに手の内が分かっている。
そのやりにくさもあって試合は延長にもつれ込んだが、ゲーオはなんとか振り切った。KOだけでなく、際どい闘いに競り勝つ駆け引きや試合運びもムエタイならではといったところ。
そして決勝では、佐々木大蔵を完封してみせた(判定3-0)。Krushの前ライト級王者である佐々木は、階級を上げてこのトーナメントにエントリー。ロー、ジャブを軸とした安定感のある闘いに加え、準決勝では飛びヒザ蹴りでダウンを奪っている。
好調に見えた佐々木だったが、ゲーオと対峙すると持ち味が発揮できず。「もう一歩踏み込む勇気。そこに気づくのが遅かった。怖気づいた部分がありました」と佐々木は語っている。手数の違いから明確で、いわばゲーオの復活アピールマッチの様相だ。
王座を奪還したゲーオは、30代と年齢のこともあって「引退のことは常に考えています」としながらも「あと1年は闘う」。また4年前に比べK-1ルールでの闘いに慣れたことから、前回よりも優勝が難しくなかったという。
足の負傷もありながら、やはりゲーオは強かった。新生K-1の“旗揚げ王座”であるスーパー・ライト級。その最大のポイントはこれからも“打倒ゲーオ”だ。