「障害への見方を変えていきたい」低身長の女性ダンサー、AV男優と考える”生きづらさ”
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 「トリーチャー・コリンズ症候群」など、AbemaTV『AbemaPrime』が取り上げてきた"見た目問題"。5日放送回では、"小人症"とも呼ばれていた「低身長症」について、当事者を交えて考えた。

■ダンサー・ちびもえこ「自分たちから発信していかないと何も変わらない」

 若者が集まる街、東京・原宿にある「KAWAII MONSTER CAFE」。カワイイ文化をビジュアル化し、海外からの旅行者も注目するカフェレストランだ。ここで月に一度、「小人バーレスクダンサー」として活躍するのが、ちびもえこさん(23)だ。身長はm7歳児の平均とほぼ同じ124cm。かつて「小人症」と言われた、一般の人よりも極端に背が低い「低身長症」という障害を抱えている。観客からは「自分に自信を持って表現できているのは本当にすごい」「パワフルで勢いを感じた」「ダンスのキレの良さ。初めて生で見たが感動した」との感想が聞かれた。

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 「母親のお腹にいるときから"小さいかも"みたいなことは分かっていたらしい」。手足や指が短くなる「軟骨無形成症」のため、座高は健常者とあまり変わらないが、身長は中学校ぐらいからずっと同じだという。同じ病気を抱える人は国内におよそ6000人いると推定され、その多くは遺伝子の突然変異で発症するとみられているが、現在、根本的な治療法はない。

 "自分はただ小さいだけじゃなくて、他の人とは違うのかな"と気がついたのは4歳ぐらいのときだという。家族からは「骨の病気だけど、皆より小さいだけだよ」と言われていたという。学校では周囲のサポートに協力してもらうことができた。「先生が最初にクラスのみんなに説明してくれたことで、いじめられることもなく、逆に手伝ってくれる人も多かった。水道に手が届かったので、台を用意してくれていた。椅子に座った時に床に足が届かず集中できないということで、用務員さんが台をつけてくれた」。

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 しかし、社会に出れば学校のような手厚いサポートはない。「電車など、公共の場は平均的な身長を想定して作られていると思うので、我慢したり、自分のことは自分で守ったりしなきゃと思う」。階段、高い位置に置かれた品物、自動販売機、電車の吊革など日常生活にも苦労があるだけでなく、見た目ゆえ、外出時には好奇の目で見られることも少なくない。「ジロジロ見られたり、指をさされたりすることは多い。同じ病気の人と遊びに行ったとき、小さい子どもに"あの子たち、気持ち悪い"みたいなことを言われた。さすがにグサッときたし、2人で笑い合うことしかできなかった。何年経っても慣れないし、嫌だなと思う気持ちはある」。

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 低身長ゆえ、夢見た就職も実現できなかった。「小学生や中学生の頃、着たい服が着られない悔しさを消化できないかなと思った。じゃあ、他の人に洋服を着せて素敵になってもらおうと。それでファッションコースがある高校を選んだし、ファッションの専門学校にも行ったけれど、アシスタントの面接では何度も断られた。"小さいから仕事ができないんじゃないか"とか、"サポートが必要なんじゃないか"と思われているんだろうなと思う」。

 身長以外は普通の人と変わらないのに、やりたいことができない、"社会の生きづらさ"を感じている。「もともと身体を動かすことは好きだったので、ダンスもしたかったし、バレーボールもしたかった。でも、"できない"とか"やめた方がいい"とか"やったらダメ"という言葉を掛けられがちだった」。

 一番悩んでいたそんな頃、多くの人の前で踊る"バーレスクダンサー"の関係者と知り合ったという。

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「私のような人に対するイメージもそうだし、障害を持っている人たちへの見方もちょっとは変わるかなって思いながら活動させて頂いている。やっぱり自分たちから発信していかないと何も変わらないと思う。毎日思えることではないけど、自分の身体を見て楽しんでもらうということは考えたこともなかったので、その瞬間、"この身体で良かったな"とも思える。同じ病気の子どもがいるお母さん、お父さんにも私の姿を見せてあげて、"うちの子にも明るい未来は待っているのかな"と思ってくれたら嬉しい」。

■AV男優・にしくん「むしろ"羨ましい"と言わせられたら」

 低身長症の要因は、もえこさんのような「軟骨無形成症」だけとは限らない。埼玉県立小児医療センターの望月弘副病院長は「染色体や成長ホルモンの分泌を原因としたものもある」と話す。さらには両親の身長や本人の体質的な問題、思春期の早さなどから低身長症になることもあるという。そうした低身長症の人たちは、日本全国におよそ260~390万人いると推定されている。

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 にしくん(25)は身体の構成成分を分解する酵素が欠損し、臓器に障害を起こす先天性疾患「ムコ多糖症モルキオ病」による低身長症だ。身長は5歳男児の平均身長とほぼ同じ、109cmだ。

「3歳の時に横紋筋肉腫という小児がんをやっていて、生きるか死ぬかの瀬戸際だった。その後、2年も経てば再発は大丈夫だろうって言われたときに、"あれ、なんか身体が小さくないか"と気づいて診断したら今の病気が見つかった。日本に30人くらいしかいない病気なので、そんな簡単に分かるものではなかったけど、当てはまった。それが6歳のとき。親は"ちゃんと向き合いなさい"とはっきり言ってくれたので、理解していた。もともとは進行性の病だったが、骨髄移植をしてから進行しなくなっていて、歩くのが辛い、立っているのが辛いというのはあっても臓器とかの異常はない」。

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 そんなにしくんの職業は、ホスト、プログラマー、そしてAV監督、AV男優だ。

 「身体が動かなくなったとしても、頭さえ動けば楽しんで生きていけるだろう」と、物理学者になりたかったという中学3年生の頃、初めて一人で外出した。「コンビニにすら一人では行かず、親に車で送り迎えしてもらっていたのが、タクシーを拾って歌舞伎町のクラブイベントに行ってみた。高校生が酒を飲んで煙草を吸って、露出の激しいギャルが踊っていた。"やばいところに来た"と思っていたら、"きゃー可愛い"って、いきなり抱きつかれた。その場で人気者になって取り囲まれたとき、"もしかして自分にしかできない方法を見つけられるかもしれない"と思った。そうやって何でも挑戦するうちに今に至った。その場その場で"いけるぞ"と思ったものをとりあえず拾って楽しむ感じ」。

 好奇の目で見られることについても、「楽しむようにしてるし、商売にしちゃってるんで、嫌なことだとは思ってない」と話すにしくん。「例えば花粉症とか、眠れないとか、食べ物の好き嫌いがあるとか、それも障害と言えば障害なので、"社会の目が障害を作っている"と感じている。何年も小さい身体でやっていると、それなりに諦めなきゃいけないこととか対処の仕方も分かってきて、周りが思っているほど"かわいそう"じゃないし、頑張ってもいないなって思う。むしろ"羨ましい"と言わせられたら、障害への見方って崩れてくるんじゃないかと思う。だから何をすれば自分のことを羨ましいと言われるかを考えた結果が今の職業」と話した。

■乙武洋匡氏「"小人プロレス"批判に憤り」

 作家の乙武洋匡氏は「以前、日本には"小人プロレス"というジャンルが存在していて、彼らのような身体の人たちが前座としてスピーディーかつコミカルな動きでプロレスをやるのがエンタメとして、コンテンツとして成立していた。ところが人認知が広まり人気が出るにつれて、"彼らを見せ物にするのは失礼だ"という声が高まり、衰退してしまった。僕はそういう流れに憤りを感じる。つまり、尋常じゃなく脚が長い人はスーパーモデルとして活躍できるが、それを"障害だ"とは言わないし、"見せ物にしている"とも言わない。自分の特徴を生かして知名度を上げ、お金を稼いでいる立派なことなのに、なぜ低身長症の場合は"見せ物だ"と批判をされるのか。それこそが"周りの目が障害を生んでいる"っというにしくんの言葉を裏付けている。そそれしか食べていく道がないとか、強制されてやっているなら良くないけど、いろいろ選択肢が用意されている上で望んでやってるなら問題ないと思うその意味で、にしくんのAVは、現代の"小人プロレス"だと思うし、人気を博して欲しい。"こんなAV見たかった"っていう人が出てくるのが面白いと思う」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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