トランプ大統領に対するアメリカ国民の"審判"ともいえる中間選挙が投票のときを迎えた。
アメリカ大統領選挙は4年に一度だが、その中間の年の「11月第月曜日の次の火曜日」に様々な選挙が一気に行われることになっている。今回は連邦議会下院(任期2年)の全435議席と上院(任期6年)の定数100のうち引退議員2人を合わせた35議席、そして36の州知事、市長、州裁判官、保安官などの選挙も実施される。
現在、連邦議会では上下両院とも共和党が過半数を占めており、上院では同党は改選選挙区のうち8選挙区で民主党に勝てば良いことになるため、事前の各種世論調査では上院での与党の過半数維持を予測している。その一方、下院では接戦が伝えられられる選挙区もあり、民主党が勝利すれば「ねじれ」状態が出現することになる。
6日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した国際ジャーナリストの小西克哉氏は、「大統領は人気争いだが、中間選挙というのはその大統領の"2年の成績を見ましょう"と有権者が投票するもの」とした上で、「民主党は空前の期日前投票などの"ブルーウェーブ"で、プラス下院で+30~40議席くらいまで行くのではないか。ただ、50州のうち5分の3の知事が共和党で、中には区割りに対する権限を持っている場合もあるのがマイナスポイントだ」と話した。
アメリカ現代政治が専門の前嶋和弘・上智大学教授は「アメリカの中間選挙の投票率は驚くほど低く30%台。中間選挙は、基本的に大統領選で勝った方が不利。1934年以降、大統領側が議席を伸ばしたのは3回だけ。上院はかなりの確率で共和党が勝つと思うが、下院は投票率次第だが、共和党が追い上げているといっても、やはり民主党が勝つのではないか。メディアの予想も、大統領選のときに比べれば固いと思う」と話した。
そんな両氏が注目する上院の選挙区がテキサス州だ。共和党からはあのテッド・クルーズ候補、民主党からはベト・オローク候補がそれぞれ立候補している。さらに州知事選で小西氏が注目するのはフロリダ州知事選。共和党は白人で"親トランプ"のロン・デサンティス候補、民主党は黒人で"親サンダース"のアンドリュー・ギラム候補が出馬している。また、前嶋氏は南部ジョージア州知事選に注目する。共和党は保守的な白人男性のブライアン・ケンプ候補、民主党は当選すれば黒人女性初の知事となるステイシー・エイブラムス候補が立候補している。こうした注目の対決の結果が、次の大統領選の行方を占う上でも注目のようだ。
仮に事前予想どおり、下院で民主党が勝利した場合にはどうなるのか。
小西氏は「民主党としてはトランプ大統領の弾劾裁判を確実にやろうとすると思う。逆にトランプ大統領としては法案審議に時間がかかるようになるので、内政よりも大統領の専権事項である外交・軍事で人気を取ろうとするだろう。80年代、レーガン大統領も6年くらいは議会が野党側だったので、やはり軍拡外交にいった。同じことが起こる可能性がある。関税などで圧力をかけられている日本としては時間稼ぎができるので、貿易・通商ではプラスかもしれない」と推測。前嶋氏は「オバマ政権でも"ねじれ"がおき、"何もできなかったね"となってしまった。クリントン政権もそうだった。やっぱりトランプ大統領の行動原理としては次の大統領選に向けてポイントを稼ぎたいので、外交で動くだろう。北朝鮮に対しても"逆ギレ"をしつつ、妥協のようには見えるかもしれないが何らかの形で非核化をひとつひとつやらせていくのではないか」と話していた。
中間選挙の結果は、あす正午にも大勢が判明する見通しだ。
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