11月11日(日)から福岡国際センターで大相撲九州場所が始まる。見どころは人によって様々だが、部屋を移籍後、初となる本場所に臨む小結・貴景勝(千賀ノ浦)は注目の一人だろう。貴景勝といえば、突き相撲だ。過去6場所の取組(計48勝)における決まり手を見ても、半数の50%が押し出し、15%が突き落とし、10%が突き出しとなっており、いずれも前に突いて出る取り口からの白星が目立っている。
175cm、170kgと幕内力士の中では小柄な部類に入る貴景勝だが、体格差をものともしない豪快な取り口とは別に、ファンの目を楽しませる所作がある。それは、取組を前に土俵下に用意された座布団に座る瞬間である。前屈みになって少しひざを曲げ、ひょいと体を浮かすようにして座布団の上にお尻から飛び乗る。コロっとした丸い体型の貴景勝のそんな姿に、大相撲を中継するAbemaTVの視聴者からはいつしか「かわいい」はもちろん、「ポン」「ぽよん」などのコメントが寄せられるようになり、今では「ぽよんカモン」など、楽しみの一つにもなっている。
そんな一部相撲ファンの反応を本人にぶつけてみると、「皆さんにそう言っていただいているようですが……」と少し困惑した表情を見せた貴景勝だったが、密かな注目を集める所作について丁寧に説明を始めた。
「あれは自分の筋肉の動きの確認なんで……とくに、まぁ。(見られているという)意識はしていませんけど。足のスタンスを広くして腰を割ることで、ケツ(お尻)の筋肉の柔軟性を確かめながら座っているだけなんですけどね。あくまでも戦うための準備の一環なので、今場所も(やります)」
また無趣味を公言する貴景勝だが、勉強熱心の一面がある。とくに栄養学についての興味は強いというが、そのきっかけは小さい頃に父親にかけられた「相撲で強くなるには、稽古だけではなく、栄養学なども勉強しなければいけない」というひと言だった。
「知識がある、知っておくことで、世界が広がる。漠然とご飯を食べるのとは違ってくるので、勉強が嫌いではないこともあり、興味を持つようになりました。と言っても、調べたり、どう実践するかを考えたりするだけですけどね」
その取り口同様、相撲道に一直線で邁進する貴景勝がどのような相撲を見せてくれるか。11日から始まる九州場所が楽しみだ。
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