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 4000組以上が活動し、"アイドル戦国時代"と言われる日本。2000年以降、多様な地下アイドルが群雄割拠する中、女子小学生、女子中学生など、低年齢のアイドルも珍しくなくなってきた中、"幼児アイドル"に注目が集まっているのだという。

■「社交辞令的なものがないのが魅力」

 AbemaTV『AbemaPrime』が渋谷で開かれていたライブイベントを取材すると、詰めかけたファンの視線の先には幼い女の子たちの姿があった。

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 キッズアイドルの魅力について会場のファンに尋ねてみると、「成長も楽しみ。3か月、半年で本当に変わっていくし、かわいくなって、きれいになっていく子もいる。アイドルだけじゃなく、女優になる子もいるし、"ああ、ちっちゃい時こうだったのに"っていう」と魅力を語る。兵庫県から夜行バスで来たという別のファンは「単純に純粋なかわいさ。やっぱり大人だと社交辞令的なものも入るけど、そういうやり取りがないし、素直な感情がうれしい」と話した。また、ファンは男性だけではない。かつてはジャニーズのアイドルを追いかけていたというある女性ファンも「とにかくかわいい」と絶賛していた。

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 ライブ1時間前、取材班のカメラに向かって無邪気にポーズを決めるキッズアイドルたち。中には4歳でデビューし、6歳の時にはCDも出したあいちゃん(8)のように、数年のキャリアを持つアイドルもいる。

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 彼女たちをプロデュースするのが、元プロミュージシャンで、現在は都内で音楽教室を運営している大隈秀徳さんだ。元々は教え子だったという彼女たちがアイドルになった理由を次のように話す。

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 「小学校5年生の女の子だけでバンドを結成してアイドルイベントに行ったら、お客さんがいっぱいいて、すごく盛り上がっていた。"何だこれは"と。じゃあうちの幼稚園児も出したらどうかと、名前に"4さい"って書いたら、本当に4歳児が出てきたのでお客さんがびっくりして話題になった」。

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 りさちゃん(5)の母親は「りさちゃんがやってみたいと言ったので、どんなものか分からないけどやってみる?みたいな感じで。私が大変になって、"ママもう無理だよ"って弱音を吐いたら、りさちゃんに"私は絶対やめたくない"と泣かれた」と振り返る。

■「あんなに小さいのに、ソロで歌っちゃうんだから」

 ステージが始まり、歌とダンスが得意なりさちゃんが「みなさん、こんにちはー!」と呼びかけると、詰めかけた観客から「こんにちはー!」と一斉に声が上がる。「大きなご挨拶を、どうもありがとうございます!りさちゃん、5歳です。『プリキュア・メモリ』を歌います!」と元気にライブをスタートさせると、会場のボルテージも一気に最高潮に。

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 また、昨年のデビュー時に「オムツを履いてるほど幼い」とネットをざわつかせたという、りとちゃん(4)は、年齢的にステージに立つか立たないかは気分次第だという。この日もファンからの"りとちゃんコール"が響くものの、気分が乗らなかったようで、舞台には上がらなかった。

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 ライブ終了後、キッズアイドルたちの「物販始めます」という掛け声とともに始まったのは、地下アイドルの鉄板行事であるグッズ販売、いわゆる"物販"だ。CD(1200円)、写真集(1500円)のほか、チェキ撮影(1000円)も行われていた。

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 グッズを買いすぎて過去に破産した経験があるというアイドルオタク・にゃうにゃう♪さんは「今年も、もう言えないぐらい。貯金を下ろして下ろして、3桁は行ってると思う。年に1度会えるかどうかというアイドルさんもいるので、やっぱりその時は」。それでもこの日は金欠のため、かなり節約して5000円に留めたと話した。

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 様々なジャンルのアイドルを応援、自宅のある茨城県からイベントに通ってきた"アイドル通"だが、とりわけ「幼児アイドル」に力を入れるようになった理由について「あんなに小さいのに、ソロで歌っちゃうんだから。チェキを撮ったらお返しに手作りのお菓子をくれたが、その数が多くて逆に恐縮しちゃって。お返しでまた行きたいなって」と明かした。

■「触れたら出入り禁止にするし、安全だ」

 一方、ネット上には「3歳児にまでアイドル活動させるとは正気ですか?」「誰が危険か見分けつかない」「アイドルファンの中には悪質な人もいる」「小さな子どもを商品として見ているのでは」という意見も見られる。

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 大隈さんは「よくわからない。ステージ横で見ていて、これのどこが危ないの?って。うちのイベントは"癒し"の現場で、"神イベント"、"平和イベント"だと言われている。お客さんも礼儀正しくて、正座して待っておられる人もいる。幼児を応援してくださる方って、高校生アイドルと比べるとかなり少数派だし、何年も通って下さっている顔見知りのお客さんたちは親戚みたいで、僕が本名や住所まで知っていて、メールのやりとりもしている人もいる。もちろんアイドルに触れたら出入り禁止にするし、安全だ」と反論。「うちの子たちは子役もやっていて、ドラマ・映画やCM、有名雑誌のモデルもやっている。その仕事が空いているところで経験を積むためにやっているこれから芸能活動をやっていくための下積みとしてやっているので、商品的な見方はしていない」と説明した。

 また、りさちゃんの母親も「行ったことがない人が想像や噂でそう思ってしまうのは仕方がないとは思う。子どもを見ていればわかるが、ファンの方もすごくよくしてくださって、見守るというスタンス。支えられて活動が成り立っているし、私も見ていて嬉しく、感謝している」と話す。

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 "アイドルオタク界のカリスマ"足立賢吾さんは、高田馬場の老舗CDショップ「ムトウ楽器店」(閉店)の元店長だ。AKB48の曲を聴きアイドルオタクになったといい、アイドルの新曲が発売される度、店頭で衣装のコスプレをしてCDを売っていた。「ムトウ楽器店」跡地は現在もアイドルオタクの聖地となっており、足立さんも音楽関連企業に勤務する傍ら、アイドルイベントを主催する。

 足立さんは「僕はAKBから入って次第に低年齢化して、そういうところまで行き着いた。媚びを売る、みたいなことはできない年齢なので、逆にお客さんの見た目についてなど、傷つくようなことも平気で言ってしまうことがある。でも、そこも無垢なところだと、お客さんも喜んだりするし、成長を見守りたいというがある」と話した上で、「完全に安全ですよ、とは言えないし、危険はいっぱいですよ、と煽ることもできない」と、線引きの難しさも指摘。

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 柴田阿弥SKE48時代の握手会を振り返り「やはり年齢が低い子の方が分別も付きづらいし、何か嫌なことを言われやすいという傾向は若干だがあったと思う。あまりにも幼いので、何か起きてしまうのではないかという不安はある」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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