![「低賃金」の実態を曲解? 失踪技能実習生の調査票“集計ミス”は「政策立案の根底にも達していない」](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/9/1/724w/img_9110dd7ebce38e5c0f2b4b3571042967242808.jpg)
外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管法改正案の審議をめぐり、法務省の失踪した技能実習生への調査データに間違いがあったことが発覚した。山下法務大臣はミスを認めて謝罪し「意図的な改ざんはなかった」と説明したが、野党は猛反発している。
衆議院本会議では、「質疑を強行しようとした」として立憲民主党が提出していた葉梨法務委員長の解任決議案の審議も行われた。解任決議案は自民・公明両党などの反対多数で否決されたが、葉梨委員長は21日22日に委員会を開き、法案の趣旨説明や質疑を行うことを先週に引き続き職権で決定した。
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この法案の本格的な審議が始まる前の段階で、与党・自民党は衆院通過の具体的な日付に言及している。その理由は安倍総理の外交日程が来週29日に迫っているためで、自民党・森山裕国対委員長は「総理入りの趣旨説明・質疑を参院が求めているようでありますから、28日にやるとすると、我々としては27日までに参院に送付しなければいけない」と述べた。
そんな中、日本共産党の辰巳孝太郎参議院議員がTwitterで公開した、失踪した技能実習生の聴取票の写しが話題になっている。ある縫製業のベトナム人女性は、週130時間(月520時間)労働で月収は9万円。送り出し機関への借金230万円がある溶接業のベトナム人男性は、月収8万円から控除額5万円が引かれ、手取りは3万円という状況だった。
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この聴取票では、失踪動機について「低賃金(最低賃金以下)」の項目にチェックはついておらず「指導が厳しい」ことになっている。しかし、給料などの実態を見ると低賃金であることは明らかで、政治学者で東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏はデータ開示の経緯がそもそもおかしかったと指摘する。
「当初は失踪動機の約87%が『より高い賃金を求めて』で、技能実習生に要因があるかのような言い方をしていたが、聴取票にはどこにもその項目はない。どうやら『低賃金』『低賃金(契約賃金以下)』『低賃金(最低賃金以下)』を足して算出したデータのようだが、これはおかしいと野党が反発して出てきたのが今回のもの。質問項目にないものを出しているというのは、法案を通すために都合のいいデータを出しているようなもの」
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また以前、厚生労働省が裁量労働制に関するデータ改ざんを行ったことについても触れ、「『EBPM』(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)が言われている中で、この根底にも達していない。そうしようというモチベーション自体もないと言われかねない状況。お尻を決めて審議を進めたいという思いはわかるが、なぜ早く進めなければいけないのか、理由が議論尽くされていないように思えてならない」と述べた。
佐藤氏はこうした現状が辰巳議員のTwitterで明らかになった情報の不透明さにも疑問を呈し、「どういう調査を行っているのか、正しい集計を行っているのかの透明性を確保してどんどん情報を出していかないと、より良い政策は作っていけない」と指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)