トッププロが集まる世界では、リスク承知で前に進まないといけない場面がある。芸能界最強雀士と言われるインスタントジョンソン・じゃいが、その神がかった打牌選択から「ゼウス」の異名を持つ赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(協会)打牌について、大絶賛した。
じゃいは11月25日、AbemaTVの麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」に出演。Mリーグの各対局の中から注目すべき一打を紹介する「じゃいの眼」のコーナーで、今回は11月19日の1回戦南4局の場面を取り上げた。
オーラスを迎えてトップ目だった鈴木は、2着目以降に2万点以上の差をつけていた。本来であれば、そのまま守備に回って逃げ切りを図りたいところだが、ここで親番のKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)から追撃のリーチが入った。佐々木の手はリーチ・七対子・ドラ2。出アガリ1万2000点から、ツモアガリで1万8000点からだった。この状況で平和のみのテンパイを入れた鈴木は、不要牌かつドラの八万をまたいだ佐々木への危険牌・九万をつかむも、そのまま果敢にツモ切り。最終的には佐々木から出た赤五万を鈴木が出アガリし、平和・赤の2000点を得てトップでゲームを終了させた。
自分がアガればトップで終了という、一見すると分かりやすくも、親のリーチにトップ目から向かっていくこともないと、勝負から降りる選択をする人も少なくない場面。だが、ここにMリーガーの技があったと、じゃいは指摘した。佐々木のリーチに対して、振ればラス落ちの可能性があったEX風林火山・二階堂亜樹(連盟)、U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)は既に撤退気配。「この状況から鈴木がおりてしまったら、ただ佐々木のツモを見ているだけの時間になります。それが一番うれしいのは佐々木」と、親のリーチで相手の動きを封じに来たと説明した。
その上で鈴木が強気に九万切りを選択したのには、振り込んでもツモアガリを許しても、得点差の状況が大きく変わらないという判断があったという。「振り込みの方が安く済むことがあるし、意外と点差はどちらでも変わらない。これが分かっていたんです。これがゼウスの選択ですし、この九万が行けないと勝てないです」と、トッププロとしての押しどころであると明言した。
親の満貫1万2000点を直接振り込んだ場合と、跳満ツモの1万8000点(6000オール)を許した場合で、点差はどちらも2万4000点縮まる。メンゼンであれば、ツモアガリであればもれなく「ツモ」で1翻つくだけに、直撃であっても翻数によってはむしろ安く済む場合すらある。緊迫したオーラスの場面でも、トッププロ鈴木は確実に勝利へとつながる選択をしていた。
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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