プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」11月29日の2回戦で、EX風林火山・滝沢和典(連盟)がオーラスで一度は逆転されながらも執念の再逆転でトップを獲得した。各チームが続々と中間点にあたる40戦を消化する中で、EX風林火山はチーム10勝目を挙げた。ここまでのチームのトップ率は25%と平均ながら、ラス率はわずか10%。まだ一度もラスのない二階堂亜樹(連盟)に加えて、ラス回避率で3位の滝沢、4位の勝又健志(連盟)と全員が安定した戦いぶりを披露して、見事に首位ターンを決めた。
2回戦の対局者は起家から渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)、セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)。魚谷以外の3選手は1回戦からの連投となった。
目まぐるしく順位が入れ替わるMリーグで上位をキープし続けているEX風林火山の強みは、なんといってもその安定感。鉄壁の守備を誇る二階堂、“麻雀IQ220”の鋭い読みを働かせる勝又、そしてお手本のような端正な麻雀を打つ滝沢と本格派の雀士を揃え、すべての選手がしっかりとラスを回避することで大きくポイントを落とすことなく中間地点の40戦目を迎えた。状況が苦しくても決して雑なプレーには走らず、どっしりと構えるEX風林火山の麻雀にはまさに“動かざること山の如し”。この日の1回戦でも、滝沢は離れたトップを無理に追いかけることなく3着でフィニッシュ。チームとしての成熟を感じさせる立ち回りを見せ、連投の2回戦に臨んだ。
トップまで僅差のラス目で迎えた東3局。この最初の親番で、滝沢にタンヤオ・ピンフ・三色同順が望める勝負手が入った。高目をツモって裏ドラが乗れば倍満の2万4000点まで見える手を理想形に仕上げ、10巡目にリーチ。すると1回戦で絶好調だった松本が安目を一発で放銃し、滝沢はあっさりとリーチ・一発・タンヤオ・ピンフ・ドラの1万2000点をゲット。裏ドラは乗らず満貫止まりとなったが、親番でしっかりと点棒を積み上げてトップ目に立った。さらに東4局1本場でも8000点(+300点)を加点し、優位な状況を築いて南場に突入。その後もセオリー通りの落ち着いた打ち回しで、しっかりと点棒を保持したままオーラスを迎えた。
しかしオーラスに山場が待っていた。2着目まで浮上した親番の石橋が連荘モードに入り、迎えた南4局2本場。場風の南をポンして先にテンパイしたのは滝沢だったが、すかさず石橋が追いついてリーチをかけた。滝沢は赤ドラを切って2000点まで手を安くし、放銃しても順位の変わらない魚谷に差し込みをアピールしたものの、策は実らず。直後、テンパイを崩せない滝沢が石橋に放銃。リーチ・ピンフ・ドラで5800点(+600点)を失い、一気に1300点差まで詰め寄られてしまった。
さらに続く3本場、石橋の1人テンパイでついにトップが逆転。追う立場になった滝沢が、なんとしてもアガらなければいけない4本場。ドラの発のポンを含む3フーロと派手な仕掛けを入れた滝沢と、リーチをかけた石橋の手がまっすぐにぶつかり合う熱い展開に視聴者が息を呑む中、アガリ牌をツモったのは滝沢だった。発・中・ドラ3・赤の1万2000点(+1200点)で再逆転を果たし、手に汗握る激闘に終止符を打った。
試合後、壮絶なオーラスの展開に「ぐったりきました」と憔悴していた滝沢だったが、チームメイトの2人から「大きなラスを引いてもポイント的にはプラマイゼロだから、思い切っていこう!」という心強いアドバイスがあったことで、最後まで攻撃的な姿勢を貫けたと明かしていた。また、ここまで全21選手中で唯一裏ドラが乗っていないことについては「なんでなんでしょう。すみませんとしか言いようがない」と苦笑するほかなかった。
インタビューの最後には、後半40戦に向けて「この舞台で打つのがすごく楽しくて、応援してくださっている方々に本当に感謝しています。裏ドラの行方も楽しみにしていただいて(笑)。3人とも調子が上がってきているので、引き続き応援よろしくお願いします」と語った滝沢。裏ドラなしという不運が続いても個人成績で上位をキープしている状況は、むしろ滝沢の実力を裏付けているとも言えるだろう。イケメン雀士の奮闘で戦国のMリーグを首位で折り返したEX風林火山が、天下統一にまた一歩近付いた。
【2回戦結果】
1着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)4万9500点/+69.5
2着 U-NEXT Pirates・石橋伸洋(最高位戦)3万600点/+10.6
3着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)1万1600点/▲28.4
4着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)8300点/▲51.7
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
【11月29日終了時点での成績】
1位 EX風林火山 +185.9(40/80)
2位 赤坂ドリブンズ +171.9(40/80)
3位 渋谷ABEMAS +74.5(40/80)
4位 TEAM雷電 ▲25.9(38/80)
5位 U-NEXT Pirates ▲49.5(42/80)
6位 セガサミーフェニックス ▲55.9(38/80)
7位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲301.0(42/80)
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
(C)AbemaTV