![「ドラマのような話」ファーウェイのプリンセス逮捕 身分を隠して“受付嬢”入社、意外な人物像](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/0/d/724w/img_0d8ce920b488279ec3506cb1e8a8a4d6170166.jpg)
5日、中国の通信機器最大手「華為技術(ファーウェイ)」の最高財務責任者(CFO)兼副会長で創業者の娘・孟晩舟(モウバンシュウ)氏が、カナダで逮捕された。拘束はアメリカの要請によるもので、身柄の引き渡しも求めている。
ファーウェイは1987年、現在の最高経営責任者の任正非(ニンセイヒ)氏が仲間6人と起業。1990年代、中国政府が全国的に通信網を整備する中で、通信インフラの整備に参入し、急成長した。
2000年代には携帯電話端末やタブレットの製造・販売を開始。昨年の年間売上は約10兆円と世界を代表する企業に発展したファーウェイ。今年4月から6月期における世界のスマートフォンシェアを見ていくと、アップルを抜いて世界第2位となっている。日本でも5位にファーウェイがランクインしている。
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孟晩舟容疑者の経歴について、経済ジャーナリスト・浦上早苗氏はこう説明する。
「孟容疑者はファーウェイ創業者である任さんの娘。両親が高校生のときに離婚しているから、お母さんの苗字になっている。大学卒業後に銀行で1年働いた後、自分が娘であることを隠して、ファーウェイの受付嬢として1993年に入社した。コピー取りや商品リスト作成など一般職のような仕事をして、3年後に一旦退社したあと大学院(華中理工大学)で会計学を学び、1997年に復職してから一貫して財務畑を歩んでいます」
なぜ突然、孟容疑者は同社のCFOに抜擢されたのか。その理由について、浦上氏は「副会長になったのは今年の3月で、CFOになったのは2011年。これは突然ではなく、すでに10年以上ファーウェイで財務の仕事をしていた。長くCFOをしていた前任者の退任に伴って彼女はCFOになったので、社内的には『突然CFOになった』ということではない。CFO就任のときに『創業者の娘ですよ』と公表された」と語る。
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自身が創業者の娘であることは、2011年のCFO就任まで隠していた孟容疑者。身分を隠していた点について、浦上氏は「おそらく本人も意図的に隠していたのでは」と指摘する。
「孟容疑者はおよそ18年間、(自分が創業者の娘だと)言わないままファーウェイでキャリアを積んできた。ドラマのような話ですが、2012年の記者会見で『自分の正体を分からない方が、いろいろな人を見られるんじゃないかと思った』と彼女は語っています。核心的な理由はないですが、お父さんが『いろいろな人と関わる立場で、いろいろな人を見なさい』と言ったようです」
マスコミから注目されるとネットでは「高卒のたたき上げ」「4度の結婚歴」「夫もファーウェイ幹部」など多数のデマを流された孟容疑者。「逆に言えば、それだけ“謎の人物”だった」と、浦上氏は語る。
今回、アメリカはどのような意図があって孟容疑者の逮捕に踏み切ったのだろうか。浦上氏は「逮捕そのものの容疑は、イラン制裁措置における違反容疑。でも、もともと10年くらい前から、アメリカはファーウェイをものすごく警戒していた。創業者である任氏は人民解放軍出身で、約20年軍人だった。中国でも広く知られた話で、ファーウェイは政府との関係を武器に成長してきた企業というイメージがある。『ファーウェイの通信機器から情報を抜かれるんじゃないか』という警戒があった。トランプ大統領になってその警戒が加速したと見ています」と推測する。
ファーウェイ側は“スパイ疑惑”を否定し、「ファーウェイは孟氏にいかなる不当な行為があるのか分からない。ファーウェイは進出先の国のあらゆる法律を順守する」と声明を出している。
浦上氏によると「アメリカは自国でファーウェイを以前から排除していた。つい最近、他国にも『ファーウェイを使わないように』と呼びかけるようになって、それに他国か追随した」という。
アメリカの呼びかけでイギリス、オーストラリア、ニュージーランドでも“ファーウェイ外し”が進んでいる状況の中、日本にも動きがあった。読売新聞などが12月7日に報じた内容によると、日本政府は中国通信業者ファーウェイとZTEの製品を「安全保障上の危険が懸念される」として、各府省庁や自衛隊などが使用する情報通信機器から事実上排除する方針を固めたという。
日本の対応について浦上氏は「アメリカと日本が大きく違うのは、日本は日朝関係に緊張が続く中でも経済だけはうまく回っていた。尖閣問題のときでも『経済は別だ』と協調路線を取ってきた」とコメント。「その中でも(ファーウェイとZTEの)使用を禁止したということは、大きな影響があるんじゃないかなと思います」と今後の影響を指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)