プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」12月7日の1回戦で、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)が南3局の親番で大物手を3連発し、ラス目から一気にトップに躍り出る大逆転で自身5勝目、チームとしての11勝目を飾った。11月以降絶好調を維持する黒沢は、ついに赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)を交わして個人成績で首位に浮上。TEAM雷電もポイントでプラス収支に転じ、超高打点のセレブ打法がMリーグに旋風を巻き起こしている。
対局者は起家からU-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(協会)、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)。パブリックビューイング会場で各チームの熱心なファンが声援を送る中での一戦となった。
序盤は黒沢にとって苦しい展開だった。見せ場は最初の親番の東3局。配牌でドラが暗刻という豪運を見せつけ、解説の渋谷ABEMAS・多井隆晴(RMU)に「Mリーガーはみんな麻雀を愛していますが、21人の中で黒沢だけが両想い。麻雀に愛されている」と称されたが、超高打点打法の弊害か、他家の徹底マークにあってアガリならず。本人が「かなり苦しかったです。もう自分の点数を見ないように打っていました」と振り返るようにじりじりと点棒を減らす局が続き、持ち点は一時7400点にまで落ち込んだ。
しかしラス目で迎えた2度目の親番、南3局でついに“麻雀に愛された女”が本領を発揮した。配牌でピンズを8枚含んだイーシャンテン。ここからツモが伸びに伸びてピンズのチンイツへ一直線。ドラをポンした鈴木にテンパイが入る中、黒沢は役なしのテンパイをあっさりと放棄して3筒をポン。すると他家に3筒が4枚見えたことで、待ち牌の2筒が絶好の待ちに。この手に朝倉が放銃し、チンイツの1万2000点でまずはラス目を脱出した。
1本場でも黒沢は止まらない。ドラの三万が対子という好配牌から、ダブ南を鳴いた前原の仕掛けをものともせず、役牌の発を3枚並べてリーチを宣言する堂々の“セレブリーチ”。ここでアガリ牌の七万を一発でツモり、リーチ・一発・ツモ・ドラ3の1万8000点(+300点)で点棒を4万点台に乗せ、トップ目の鈴木まで3000点差に迫った。
極めつきは続く南3局2本場だった。ラス目の朝倉が、8巡目に高目で倍満の3・6筒待ちリーチ。しかし黒沢はまったく怯むことなく、12巡目に3筒と中のシャンポン待ちリーチで応戦。すると次巡、なんと朝倉の待ち牌でもあるドラの3筒をツモり、リーチ・一発・ツモ・ドラ3の1万8000点(+600点、供託1000点)で勝負あり。親番での3連発、しかも2局連続の一発ツモ&ドラが集結した不条理なまでの爆発力をまざまざと見せつけ、ラス目から一気に6万点台のトップ目に立った。
試合後のインタビューで、黒沢は「高い点をアガれて気持ちがいいです」とホクホク顔。それもそのはず、この勝利で個人成績首位に浮上した黒沢には、チームメイトの瀬戸熊直樹(連盟)の奢りによるご褒美の食事会が待っているという。「大先輩なので遠慮したら逆に失礼。がっつり食べてこようと思います。(食べたいものは)カニですかね?」とセレブな見た目にそぐわぬ大食いキャラの一面を覗かせ、麻雀ファンを沸かせていた。
ネット麻雀で最強を誇ったデジタル派の代表格・朝倉、そして解説の多井が「この2人でどれだけタイトル獲ってるんですか? 独占禁止法違反ですよ」と評する鈴木と前原という超一流の男性プロたちが手を尽くしても、Mリーグを席巻する黒沢のセレブ打法を止めることはできなかった。ドラが続々と集まる圧倒的な運量にばかり注目が集まっているが、集まったドラを活かすためには繊細な押し引きの感覚が必要不可欠。今後も高い技量に裏打ちされた華麗なる麻雀で、“強気のヴィーナス”がTEAM雷電の進撃を牽引していくだろう。
【1回戦結果】
1着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)5万9200点/+79.2
2着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(協会)2万3500点/+3.5
3着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・前原雄大(連盟)1万500点/▲29.5
4着 U-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)6800点/▲53.2
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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