12月8日に開催された新生K-1初の大阪大会は、前売りチケットが早々に完売する異常人気となった。何よりも話題を呼んだのはメインイベント、つまり2018年のK-1のメインイベントとなる武尊vs皇治。スーパーフェザー級タイトルマッチだ。
新生K-1を牽引し続けてきた武尊に対し、階級が違う時期から挑発してきたのが皇治だった。もちろん実際の対戦相手も茶化し、怒らせ、それでも結果を出してK-1大阪大会開催の原動力になっている。皇治にとって、最高のシチュエーションでの武尊戦実現だった。
大阪は皇治の地元だけに、凄まじい熱量の声援。武尊にはアウェーとも言える状況での試合だったが、それでもK-1のエースは圧倒的に強かった。左ミドル、右ヒザ、そこにパンチも加えてボディにダメージを集中させると、ロープ際に詰めて右フックでダウンを奪う。これが1ラウンドのことだ。
2ラウンドも武尊が攻勢、真っ向から打ち合う場面も。さらに3ラウンドにも、武尊はパンチのラッシュでメッタ打ちにしてレフェリーのスタンディングカウントが入る。最終的にKOこそ逃し、判定勝ちとなったが、2度のダウンを奪っての完勝だ。
とはいえ皇治も、フラフラになりながら猛攻に耐え、隙あらば一太刀入れようと奮闘していた。お互いが「俺がK-1を、格闘技界を背負う」と言って臨んだこの一戦、皇治もその言葉に見合う覚悟を見せたと言っていいだろう。そして、そんな皇治を上回った武尊の強さもあらためて「ただごとではない」と思わされた。
試合後、はエースとしてさらに踏み込んでみせた。マイクを握って語ったのは、これまで対戦アピールされ、ファンからも熱望されてきた「あの男」についてだ。
「団体の壁とかいろいろあると思います。実現できない状況でそれを口にしたら、ファンを裏切ることになってしまう。格闘技界を背負う、変えるとずっと言ってきた。時期は分からないけど、必ず実現させます。実現させるだけじゃなく、勝つ気でいます」
ファンからの声に、何度も「分かってます」と頷いた武尊。同時代を生きる強豪と拳を交えたい気持ちは、誰よりも本人が持っている。しかし有言実行がモットーの武尊は、無責任に「アピールしただけ」にはしたくなかったのだ。だから今回も、相手の名前は出していない。
大会翌日の一夜明け会見でも、武尊はあらためてこう語っている。
「根拠も責任もなく、やってやると言うのは簡単ですけど、それだとファンへの裏切りになってしまう。僕は盛り上げるための発言より、実現させるための発言をしました」
SNSなどでファンから批判されても、武尊はあえてそれを飲み込み、関係者に向けて直談判していたという。それが武尊の、格闘技界を背負う人間としての責任感だったのだ。
もちろん、実現は簡単ではない。しかし武尊が本気なのは間違いない。年明けに何かが動くのか。期待するしかないだろう。