DDTグループの団体・プロレスリングBASARAが放つ独特の熱気が、ここにきて一段と高まっている。
（衝撃的フィニッシュとなったサスケvsFUMA。ベテランのサスケが凄味を見せた）
（C）DDTプロレスリング
9月21日の後楽園ホール大会で代表兼エースの木高イサミが負傷、長期欠場が続いているのだが、その間も勢いは止まっていない。9.21後楽園のメインで団体頂点の証・ユニオンMAXのベルトを巻いた中津良太は自身のユニット「スパーキー」を結成。すでに2度の王座防衛にも成功しており、新エースとしての地位を固めている。
激しく、ヤンチャで、笑いの要素も絶妙に含ませる闘いぶりはイサミや宮本裕向にも連なる持ち味だ。キャリア4年、27歳。これから本格的に“中津時代”を築いていくだろう。
11.17新木場大会で中津が2度目の防衛を果たすと、翌週の埼玉・川口大会（11月23日）では下村大樹が石井慧介（ガンバレ☆プロレス）が持つインディペンデント・ワールド世界ジュニアヘビー級のベルトに挑戦している。下村は、DDTの若手ブランド・DNAの活動休止に伴ってこの夏にBASARAに入団してきた選手だ。
石井に敗れはしたが、メインのタイトルマッチにふさわしい試合を見せた下村。ユニット「戦闘民族」としてもガンバレ☆プロレス勢との対抗戦に乗り出し、イキのいいところを見せている。その戦闘民族に助っ人加入したフリーの藤田ミノルも抜群の存在感を発揮。
（2年連続で自主興行を成功させ、プロデュース能力の高さも見せたFUMA）
（C）DDTプロレスリング
12月9日の新木場大会は、昨年に続きFUMAプロデュースによる「FUMA FEST」が開催された。プロレスとヘヴィメタルのコラボイベントで、ライブと試合が交互に行なわれる形式。バンドの生音とともに選手が入場する姿も、このイベントならではの見せ場だ。
メインイベントではFUMAがザ・グレート・サスケとハードコアマッチで対戦。プロレスファン時代から憧れていたというサスケとの対戦は、FUMA自身のマッチメイクによるものだ。イス、ラダー（ハシゴ）、テーブルと各種凶器を使っての攻防は、フロア（リングサイド）がスタンディング観戦というシチュエーションも相まって異様とも言えるテンションにまで高まった。
サスケも「胸を貸す」というスタンスではなく攻めも受けもひたすらハード。狂いっぷりでもFUMAを凌駕する勢いで、最後はテーブルの上にFUMAを寝かせ、その上にイスを山盛りにした上でラダーも立てかけ、そこにミサイルキック。凶器に埋もれるように3カウントを奪った姿は壮絶そのものだった。
（王者にして新エース格の中津はここまで2度の防衛に成功。11.17新木場でのSAGAT戦も好勝負だった）
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この「FUMA FEST」に限らず、BASARAの新木場大会は“空間”としての魅力も大きい。年内最終戦、ドリンク飲み放題の「宴」興行として開催される12月18日の大会ではスパーキーvs戦闘民族のユニット対決（6人タッグマッチ）も実現。またBASARA名物、現役弁護士の竜剛馬と久々登場の丸山敦による「逆転プロレス裁判」（プロレスでも裁判でもない、まったく新しい何かしらのエンターテインメント）も必見、とあえて言いたい。
さらにヨガありプロレスセンス抜群の現役僧侶レスラーありと、説明に時間はかかるが見たら一発でハマること確実のBASARAワールド。絶対的な主役であるイサミを欠く状況だからこそ、その地力が予想以上に強いと感じさせる興行が続いている。
文・橋本宗洋
