
日本政府は20日、クジラの資源管理を話し合う国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明した。これにより、現在行われていない商業捕鯨が再開される可能性が出てきた。
日本の捕鯨の歴史は古く、江戸時代には葛飾北斎の『五島鯨突』にも捕鯨の様子が描かれている。戦後は貴重なタンパク源として重宝され、学校給食にもくじらの竜田揚げなどが登場した。しかし、1970年代から「クジラを保護すべき」という世界的な声が高まり、捕鯨に対する抗議活動が活発化。1982年には、IWCが商業捕鯨の一時停止を採択したため、日本はその後調査捕鯨への変更を余儀なくされた。
調査捕鯨とは、クジラの生息数などを科学的に調査し、データを集めることを目的としたもの。現在日本で食べられているのは、その際に捕獲されたクジラの副産物だ。しかし、この調査捕鯨でも反捕鯨団体「シー・シェパード」による妨害行為を度々受けてきた。
さらに今年9月、IWCの総会で、商業捕鯨再開を訴えた日本に対し、反捕鯨国は厳しい態度を崩さなかった。日本の提案は否決され、一方で決議された宣言には「クジラを殺す調査は必要ない」と、調査捕鯨すら全否定することが盛り込まれた。この場で日本は「IWC加盟国としての立場を根本的に見直すことを迫られ、そこではあらゆる選択肢を精査せざるを得ない」とIWCからの脱退をほのめかしていた。

そもそもIWCは、捕鯨産業の秩序ある発展を目的に1948年に設立されたが、今では「捕鯨は許さない」という流れに変わっている。日本政府は「IWCは機能していない」として、脱退を決意した。
仮にIWCを脱退した場合、現在行われている南極海での調査捕鯨はできなくなるが、日本の排他的経済水域内での商業捕鯨再開への道が開ける。これにより、クジラの肉の供給はしやくすなるかもしれないが、国内の需要は商業捕鯨を停止した30年前から低い水準のままだ。日本が国際的な枠組みから脱退する異例の事態に、反捕鯨国のオーストラリアのプライス環境相は「日本がIWCにとどまるよう強く要求する」としている。
IWC脱退の報道を受けて、飲食店の反応はさまざま。AbemaTV『けやきヒルズ』では、くじら料理を提供する「くじらのお宿 一乃谷」の谷光男さんに話を聞いた。

店への直接的な影響はまだわからないという谷さんは、クジラの食文化について「これからですよ。(商業捕鯨停止で)30年放っとかれて、元に戻すには40年、50年かかる。1回なくなったものを元に戻すのは大変。どの国も食文化を大切にするでしょ。日本もそう」と話す。
一方、お店に来る客は20代・30代が8割で「クジラを知らない世代」だといい、議論が深まることには「当然そうなってほしい」と賛同。飲食店の考えとしては、「現代風に食べやすくすること(をやっていきたい)」と話してくれた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶︎クジラ再び食卓に?日本政府が国際捕鯨委から脱退へ
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