![ゴーン容疑者再逮捕に元検察官「無理やり」、特別背任容疑の責任所在に疑問符も](https://times-abema.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/724w/img_84ac50d92f9b95d8a644dfe626166b11110866.jpg)
今日にも保釈されるとみられていたカルロス・ゴーン容疑者だったが、東京地検特捜部はゴーン容疑者を特別背任容疑で再逮捕した。
その容疑は、ゴーン容疑者が2008年10月に私的な損失約18億5000万円を日産に肩代わりさせる契約をしたなどとして、損害を与えたというもの。特別背任については、前回の再逮捕時にも注目が集まったものの、逮捕容疑には含まれていなかった。勾留延長が認められなかったこのタイミングで逮捕に踏み切った裏側にはどのような攻防があったのか。AbemaTV『けやきヒルズ』は、元東京地検検事の郷原信郎弁護士に見解を聞いた。
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今回の再々逮捕について郷原弁護士は「検察がギリギリまで追い詰められていたことは間違いない。裁判所が勾留延長を却下したということは、これまでやってきた有価証券報告書の虚偽記載についての捜査は『もう十分』『これ以上やることはない』と判断したということ」と話す。
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検察はなぜそこまでゴーン容疑者を保釈したくないのか。関係者によると、ゴーン容疑者は「拘置所を出たら会見をやりたい」「名誉が傷つけられたのできちんと主張したい」と話していたといい、郷原弁護士は「ゴーン氏が公の場に出てくれば、これまで検察がやってきたことを徹底的に批判する。西川社長以下についてもそうだし、それに耐えられるかということで、やる予定がなかった犯罪を無理やり取り上げて再々逮捕したということだと思う」との見方を示した。
一方、裁判所が特捜部の主張を退けたことはほとんど例がないことだといい、「検察は有価証券報告書の虚偽記載がそれなりに重大な事件であると思ってやってきたが、裁判所はそうではなかった。これから捜査が萎んで、ゴーン氏が『こんな程度で逮捕された』という批判が高まり、ゴーン氏もいろいろ主張してくるのは最悪の事態」と説明。さらに、釈放が今か1、2カ月先かでは大きな違いがあるとし、「世の中の受け止め方が違う。どんな無理筋の事件でも、検察が逮捕した、起訴したということであれば、裁判で結果を見極めようという話になる。そこまで結論を先送りできる」と述べた。
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今回の特別背任容疑に関しても「ゴーン氏だけの責任なのか」と懐疑的にみる郷原弁護士。「ひとつは、10年前の事件で特別背任の時効は7年であること。ゴーン氏は海外にいる期間が長く、その間時効の進行は停止するのでクリアできたのかもしれないが、それでも普通は10年前の事件を取り上げない。また、損失を付け替えたとされているのは急激な円高が進んだ時。その後は恐らく損失は減っていったはずで、そんな事件をわざわざ刑事事件として取り上げるのか。もうひとつは、元々は融資をしている側の銀行が『担保不足だから』と発案した話であること。銀行関係者を放っておいていいのか」。
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ゴーン容疑者逮捕の一連の動きに関しては、「ヤクザにふさわしい処遇」(米ウォール・ストリート・ジャーナル)、「この手法では判決を受けずに何週間も拘束されてしまう」(仏ルモンド紙)など、海外からの批判も相次いでいる。郷原弁護士は「裁判所として正しい判断をしないと、海外から批判されるということを考えたんだと思う。今回の勾留延長を認めれば『裁判所は検察の言いなりか』という批判を受けかねず、当たり前の判断をしただけだと思う。とはいえ、裁判所はこれまで特捜事件にものすごく甘かった。海外の批判を想定していなければ認めていた可能性もあったかもしれない」とした。
事態が二転三転している今回の事件。今後どのように見るべきかについては、「これまでの経過から、まともな再々逮捕ではないことは間違いないと思う。この後またいろいろ報道されていく中で、徐々にこの事件がおかしいということがわかってくるはず。しかし、検察が逮捕したとなるとまずメディアはそれを報じるので、当面検察にとってプラスに動く可能性がある。我々は本当にそれでいいのか、検察が権力を私物していないかという目で見ていかないといけない」と主張した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)