俳優としても活躍するプロ麻雀リーグ「Mリーグ」のスター選手、TEAM雷電・萩原聖人(連盟)が、その演技力を卓上でもいかんなく発揮した。12月23日に放送されたAbemaTVの麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」で、トッププロを惑わす“名演技”ぶりの詳細が解説され、出演者たちを感心させた。
「魅せる麻雀」「雷電の麻雀はおもしろい」など、萩原や所属するチームを表現する言葉はいくつかあるが、それは必ずしも派手さだけではない。確実な読み、冷静な判断でもしっかりとファンの心に刺さるものを作り上げていた。同番組のレギュラーコーナーで、芸人最強雀士と呼ばれるインスタントジョンソン・じゃいが解説する「じゃいの眼」で、萩原がトップを取った12月20日1回戦の東2局が取り上げられた。
状況は親が萩原、トップ目はセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)。12月に入り、一気に調子を上げている萩原は、イーシャンテンだった3巡目で4索を引き入れると、全くの孤立牌だった字牌の北ではなく、対子で持っていた6索を切り捨てた。後に1索を暗カンし5・8索待ちのリーチをすると、U-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)から8索を一発で出アガリし、親の満貫1万2000点(供託1000点)。これを契機に、萩原はトップを勝ち取った。
なぜ萩原は、このアガリをものにできたのか。そのポイントが3巡目の6索切りだ。5巡目には3巡目に引いた4索を切ったこともあり、この捨て牌を見る限り、2・5索待ちはあったとしても、5・8索待ちは考えにくい。仮に4・6・6・7と持っていたとした場合、切るなら4索、6索の順だからだ。じゃいは「5・6・7の三色同順にならないリーチには行かなかったと思います」と、高目を追求する上でも、先に6索を切った方が5・8索待ちは見えにくくなる。「その罠を河に仕掛けたんです」と、その捨て牌によるトラップを解説した。
演技はもう1つあった。1索をカンした時に引き入れた7筒は、5・6・7筒と持っていた萩原にとっては不要牌。ここであっさりとツモ切りせず、もともと持っていた7筒を切る「空切り」し、ここでリーチ宣言。宣言牌の近辺が当たり牌である、いわゆる「側テン」を演出したことで、対局者がピンズを切ることにためらいを生じさせ、見事に3巡目の時点から狙いをつけていた5・8索待ちでアガりきった。
このシーンは、対局時も解説を務めていた渋谷ABEMASのエース選手・多井隆晴(RMU)も「ここで6索を切っておくとソウズ待ちでテンパイしたときに有効です」と指摘。「萩原の6索がいきましたね。非効率だと思う人もいると思いますが、デジタル派にはあれが効くんですよ」と語っていた。
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