2019年注目のオカッパリルアー&アングラー 吊るしのアプローチに熱視線
バスフィッシング界において“オカッパリ”といえばこの男、金森隆志だ。メディアに登場してから20年、金森は当時から“オカッパリオンリー”で活動を続けてきた。いまではオカッパリ目線のタックルを作り出すメーカー、レイドジャパンを起ち上げ、膨大な経験をアイテムにフィードバックさせている。今回は、メーカーとして、またアングラーとして活躍し続ける金森がいま注目するオカッパリの“モノ”と“人”を紹介する。
「いま個人的に注目しているのは、吊るし系の釣りですね。あれってやってみて思ったんですけど、元はボートの釣りなんですよ。でも、サイトフィッシングもそうですけど、この釣りって実はボートよりもオカッパリの方がメリットあるなぁと。サイトで身を隠すことで考えると、オカッパリとボートだと9:1くらいでオカッパリの釣りですよね。吊るしも同じで、掛けた後のランディングこそボートの方が有利でも、それ以外であれば圧倒的にオカッパリです。
具体的にはなにかに絡めてラインを引っかけて、ルアーを水中に沈めてボトムまでは到達させない。要は水上でも水面でも水中でもいいので、そこにある草であったり、なにかにラインをかけてそれで水中にルアーを沈めて、吊るした状態で誘う釣りです。オカッパリだと活用できる場面が多くて、足元の垂直護岸なんかだと、カバーがなくてもバーチカルに吊るせますよね。
レンジとしては止めてキープしますが、ルアーは常に動かし続ける。それができるルアーとしては、主にスモラバなんですが、専用としては複数個。ノリーズのカメラバに、バレーヒルのデビルジグが元祖。そしてレイドジャパンのエグダマタイプレベルです。
吊るすアプローチはかれこれ数年前から提案されていましたが、私が重要だと考えたのは水中での姿勢なんですよね。トレーラーを付けると重さでリアが下がってしまう。だからトレーラーをセットしても水平姿勢で誘えるといったコンセプトで作ったスモラバがエグダマとトレーラーのエグバグです。ちなみにトレーラーはホッグ系のバトルホッグの2.6インチでも水平姿勢をキープできます。
若い世代の突き抜けに期待するも……
注目すべき釣り人は……残念ながらいませんね。こういう質問って普通はニュージェネレーションのことだと思うので、その意味ではいません。ただ、期待したい子たちはいます。というか、常に期待はしています。ただひとつ思うことがあって、それがなにかというと、いまってコピペの時代なんですよね。かつて自分たちが小僧だったころって、オリジナリティをどこまで磨けるかっていうのはアングラーのポテンシャルのひとつだったと思うんですよ。でもいまは流行っている釣りをコピペするという。
それが釣りだけじゃないんですよね。いまの若い人が自分の持っていないスペックを補うためにやることはコピペ。昔もそうでしたけど、いまはスマホなんかですぐに調べられるから、表面上はすごく詳しいけど、中身がない。お前が世の中語ってんじゃねーよ、と言われることは覚悟のうえで苦言を呈しました(笑)。釣りでも若い子たちは話題の釣法なんかはすぐコピペ。しかも世の流れだから悪気はない。でも結果オリジナリティがないというか、自分で考える工夫するっていうのはコピペじゃできないんですよね。
だからこそオリジナルを身に着けることができてきたらすごく楽しみだなと。まぁそんな僕も、すべて自分だけでやってきたってことは当然なくて、正直吊るしの釣りだって人がやっているのを見て取り入れて、自分なりにアレンジしてる最中なんですけどね。真似した釣れたオレすげぇ! だけじゃないと思ってます(笑)。
オカッパリの進化を加速させるライバルたち
そんな意味でも、オリジナルを持っていてよく釣る人からは目が離せません。もうことあるごとに言ってますが、川村光大郎さん、青木大介、木村建太、伊藤巧。この4人ですね。
盟友であり古くからのライバルでもある川村光大郎。光大郎さんの最大の魅力は高速ラン&ガンなんですが、もちろんただ乱暴にフィールドを駆け回っているわけではありません。ジャッジの正確さと、さらにスピーディななかの精度の高さはピカイチです。
僕とはカテゴリーが違いますが、トップトーナメンターの青木大介。フィネスや繊細さに注目されがちですが、実は戦略。そしてその戦略をベースに繰り出される戦術の引き出しの多さと精度の高さ。フィールドの特徴や季節感、魚の動きを短時間でつかむことに関しては日本一でしょう。
パワフルフィッシャーマンの木村建太。いわゆるストロングゲームをやったら日本一かもしれません。彼にしか釣れない魚、彼の強さだけが生きる環境や状況があって、そこにハマれば誰にも止めらないないですね。爆発力がすごいです。ちなみに日本のミノスト(ジグスト)の開祖でもあります。
そして伊藤巧。近年メキメキ力を付けてきた若手のホープですが、実は大きく僕らと年齢的には変わらないんですよね。アラサーかアラフォーかの違いです(笑)。持っているセンスといままで積み上げてきた経験値は群を抜いています。それに加えてここ何年かでのメディア活動やトーナメント活動、陸王や艇王でもそうですが、勝ちグセなど、ノビシロが測れない。いわゆる僕が言うコピペ世代の先駆けにも当たるんですが、それを自分の物、オリジナルにする力がすごい。ひと言で、傑物です。
ここに割り込んでくる新しい世代の子を強く望みます。それがオカッパリのステージをもう一段上げると思っているので。でも、まだまだ負けねぇよ!っていうのもいまの本音です(笑)」
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