究極の接客業と言われるホスト。黒系のスーツに"スジ盛り"と言われるヘアースタイルが定番だが、そんなイメージを覆し、業界に革命をもたらす"ネオホスト"が全国的に広がりを見せているという。帽子にパーカーなど、信じられないほどカジュアルなスタイルで接客。飲み物もノンアルコールドリンクでOK。18日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、そんなネオホストの現場を取材した。
従来のホストがお金をかけ、セットサロンで髪を入念にセットしている頃、グループでスイーツに舌鼓を打つのは新宿・歌舞伎町のネオホストたち。自分でやったほうがナチュラルに仕上がると、髪型はいつも自宅でセット。所要時間は約5分程度だ。ホストクラブ「AWAKE」で働く優希刃さんは、そんな彼らについて「私服の男の子たちが増えたなという感じ。流行っていてイイ感じかなと思う」、一方、「SENSE TOKYO」で働くネオホストの伊集院和也さんは「もちろん格好いいと思う。スーツでビシッとしてホストだなと」と、お互いのことを評価し合う。
この世界に入るきっかけについて、伊集院さんは「歌舞伎町という土地柄もあって、怖いイメージがあった。でもInstagramで社長の姿を見て、やりやすそう、面白そうと思った」。同じく「SENSE TOKYO」のあいあむさんは、以前はスーツを着て接客するタイプのホストだったそうで、「お客様との距離感だったり、外を歩く時にもスーツを着るのが格好良いのかなと感じたり、疑問を感じる部分があった。私服のホストがあると聞いてすぐに入った」と明かした。
■YouTuberともコラボ、コーラとお茶で乾杯
マメであることが鉄則のホストの営業。優希さんは1日に2、3回はLINEでやりとりをするというが、ネオホストのスタイルはそれとは異なっており、雑誌でのモデル活動、YouTubeでの広報活動に力を入れる。
「NEW GENERATION GROUP」では、ネオホストたちが「シェイキングシェイキング」と歌い踊る「ニュージェネ体操」の動画を投稿。これを見て「ホストっぽくないお店だな」と感じ、訪れたという女性客も。オーナーの桑田龍征氏は「ダークなイメージを払拭して、歌舞伎町やホストクラブに興味はあるけど、なかなか勇気が出せず足を運べないに向けて。RaphaelさんなどのYouTuberとコラボして拡散してもらえば、色々な人たちに見てもらえると思った。実際、地方や男性のお客さんが来ることもある」と話す。
男性客に連れてきてもらったというキャバクラ勤務の女性客は「今から私のお店で飲むが、その前にイケメンに会いに連れて来てくれた」。接客方法もこれまでとは異なり、コーラとお茶で乾杯しているテーブルもあった。雰囲気は合コンのようで、18歳の女子大学生も「最低料金1万円くらいなので、普通に遊ぶ感覚で来る」。従来のホストクラブのお客さんが非日常を求めて来店するのに対し、ネオホストの客たちは「安いし気軽に来られるし、仲良い友達に会いに来る感じ」なのだ
ネオホストの接客スタイルを体験した小川彩佳アナは「平和な感じがして安らぐ」、AV女優の紗倉まなも「優しい雰囲気だ」と感心していた。
働き方も新しい。深夜1時、ホストの男性がかなりお酒を飲んでいるにも関わらず営業も兼ね「アフター」に行ったのに対し、ノンアルコールドリンクしか飲んでいないという「SENSE TOKYO」のネオホスト・レアさんは「プライベートの時間を楽しみに」と、バスケットボールをするため、公園へと向かっていった。
それでも、あいあむさんは「自分の誕生日の月にイベントを打たせて頂いて、それで売上が上がるというのが多いと。額は言えないが、高級外車1台分くらいではないか」と、月に1000万円ほどを稼ぐこともあると示唆する。一方、「お金を稼ぐつもりで入ったというのもあるが、感覚的にはお客様というよりファンみたいな感じで、地方の方や学生の方がインスタを見て来てくれたりするのが楽しい」と話していた。
■情報の可視化により、業界に逆転現象が
最近の歌舞伎町ホスト業界について、「多くの人がイメージしているような、トンガリ靴を履いているホストはほとんどいない」と話すのは、ホストクラブを運営する「Smappa!Group」会長の手塚マキ氏だ。
「4年前くらいから逆転現象が起こっていて、上下スーツを着て、オーセンティックな接客をするホストクラブは、歌舞伎町に200店くらいあるホストクラブのうち、10店ないくらいになっている。色々な要因があるが、一つは採用。わざわざスーツを買わなくても、自分の好きな私服で仕事ができるほうが入りやすい。また、SNSによる要因も大きい。どの業界も一緒だと思うが、情報の可視化によりハードルが下がった。ホストになる子もそうだし、お客様も秘匿性より安全性を気にするようになったと思う。お店側も、法律やモラルに触れることはできなくなっている」。
その結果、手塚氏はホスト業界そのもののマーケットが拡大していると指摘する。
「ホストクラブは基本的に原価の10倍でお酒を出している。それはホストの給料が高いから。それはホストもネオホストも変わらない。応援したいという意味合いや、お金を使っている自分の価値を感じるという意味合いなど、お酒を飲んで、遊興的な時間を楽しむということ以上の価値が今も変わらずある。そして女性たちがそういうことを昔よりも堂々とできるようになった。さらに"会えるアイドル"のようになって、その子と関わっているということ自体に価値がある、というスタイルがネオホストなのかもしれない」。
ネオホストが台頭してきた今、気になるホスト業界の将来について手塚氏は「カジュアルに会えるアイドル風の人がいるお店、エンタメを重視するお店、オーセンティックにお酒が飲めるお店という風に系統が分かれてくると思う今でもやはり怖いというイメージはあるが、ホストクラブに行くのは格好良いという女性、"私はナイトライフを楽しんでいる"という女性が出てくることも大事だと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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