「日本政府の対応は”武士の情け”」「韓国政府の説明に納得する軍人は一人もいない」日韓協議”打ち切り”関係修復は困難?
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 混迷するレーダー照射問題で、防衛省は21日、「探知音」を公開した。しかし約1時間後、韓国国防省は「実態が分からない機械音だけだ」とのコメントを出している。

 同日放送のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した自民党国防部会長の山本朋広衆議院議員は「新しい証拠というより、我々としてはすでに掴んでいた"確たる証拠"だ。シンガポールで行った実務者協議の際には、今回公表したデータよりももっと詳しいデータを持参し、お互いの情報を交換しましょうと提案した。しかし韓国側はそれを拒否したどころか、約束を破って先にプレスリリースを行い、協議内容を歪曲して伝えた。我々としては堪忍袋の緒が切れ、可能な範囲でデータを世に出したということだ」と説明。「今回公表した資料では、航跡などについても図で示している。民間の飛行機は150mの高度を取りましょうという話になっているが、軍用機には適用されない。それでも自衛隊は安全に運用するため、民間機が守っているレベルを守っていた。加えて、(哨戒機との距離が)500m離れていたということは韓国側も認めているので、さして危険性はなかった。また、これまで3回、同じ軍艦に同じ距離で接近しているが、今回に限って突然、威嚇的と訴えられた。なにか見られたくないことをやっていた、というのが妥当な推測だと思う」と強調した。

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 今回公開された音声のうち「火器管制用レーダー探知音」について、元航空自衛官で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「敵を撃墜するためのミサイルを発射する際には、目標を追尾していなければいけない。それが火器管制用レーダーで、特定の方向に向かって常時照射する。ここが回転する捜索レーダーとの決定的な違いだ。今回の音声を聞いてみると、長く継続して音が出ているし、電波の強度も推知される。自衛隊機に火器管制レーダーが照射されたということの動かぬ証拠だと言える」との見方を示す。

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 「言うまでもないことだが、自衛隊機は平時における任務をしていただけで、対艦ミサイルなども搭載していない。見れば分かる通り、丸裸の状態だった。他方、韓国海軍の駆逐艦は、自衛隊機を撃ち落とすことができるだけの武器を搭載していた。だから脅威に感じたのはむしろ日本側だ。想像するに、韓国海軍が現場海域にいた目的が、昨年の3回と今回とでは違っていたからだと思う。あの日・あの時、日本政府、あるいは国際社会に見られて困ることをやっていた、だから自衛隊機を追い払うようにレーダーを照射した、というのが納得できる説明だと思う。北朝鮮の船が工作船だったという可能性も指摘されているし、国連の制裁決議に反していることをしていたのか、あるいは現場の人に強い反日感情があったのか。断定はできないが、何もなかったのなら、なぜ突然照射したのか、強い疑問が残る」。

 今回、防衛省は音声と併せて「最終見解」も公表している。そこでは音声データ公開に至るまでの交渉の中身も明らかになっている。

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 それによると、去年12月27日の実務者協議で日本は相互主義に基づき共同検証を提案、日本側は探知したレーダー波のデータ等を提示、韓国側は火器管制レーダーの性能や使用記録等を提示し、両国で検証していくことを求めたが、韓国側がこれを拒否。また、1月14日にシンガポールで開かれた第2回実務者協議では、日本側が音声データを持参、韓国側に聴取を提案するも、韓国側はこれも拒否。しかもその翌日、韓国の国防報道官は、「防衛省の提案は無礼だ」と、外交的にも異例な用語である「無礼」を使って非難、事前合意に反し、事実とは異なる内容を一方的に報道した。

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 また、「相互主義に基づく客観的かつ中立な事実認定応じる姿勢が見られないため、レーダー照射の有無について、これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられることから、本件事案に関する協議を韓国側と続けていくことはもはや困難であると判断いたします」とし、韓国との協議の打ち切りを決めたことも明かしている。

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 山本議員は「そもそも機密データの相互公開も、友好国同士だからできること。にもかかわらず、"一緒に突合しましょう"と言った途端に"やらない、無礼だ"と言ってくる。自分たちが照射したことが明らかになってしまうので、ひたすら拒否し、駄々をこねているだけだ。とにかく虚偽とも思えることをどんどん繰り返した結果、自身で収拾がつかなくなり、どの時点で、何を謝ったらいいかが分からなくなったのではないかという気がする。しかし、そこで我々が世界に対し、"韓国は杜撰で稚拙な軍の運用をしていた""こんなにひどいことをしているんだ"と、音声データ以上の確たる証拠を明らかにしてしまえば、友好国を喉元まで詰めることになってしまう。出せる範囲での証拠を示すことによって、韓国側に事実をきちんと認めて謝罪をするなり、再発防止策を示すなりの判断の余地を残した。あくまでも私の感覚だが、友好国としての"武士の情け"みたいなものだ」と説明。

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 「交渉の結果、これ以上の議論をしても、韓国が虚偽を積み重ねるだけで、いくらやっても無理だろうな、諦めようという話になっている。ただ、協議の打ち切りといっても、事実を確定することに関しての最終の見解というだけで、韓国政府に対してどう対応するのかということまで打ち切ったわけではない。我々としては向こうの出方を見てどう対処するのか考えていくが、我が党の中には制裁をしっかり課すべきだという方もいるし、具体的な対抗策を示すべきだという方もいる」。

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 潮氏は「命令を受け、通常の任務として警戒監視をしていただけなのに、いきなり火器管制レーダーを照射された。それなのに"どっちもどっちじゃないか"という世論が形成されていけば、現場にいた海上自衛官はどう思うだろうか。彼らの同僚や、それに続く者たちはどう思うだろうか。それを日本政府が"なあなあ"にするならば、それはシビリアンコントロールが危機に瀕するということだ。だから防衛省としてもデータを発表したんだと思う。ただ、公表されたのはレーダー波を音に変換し、一部加工したもの。日本はその生データを持っている。日本政府が腹を決めれば、韓国側が出されては困る"最終的なカード"も持っている」と指摘。

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 「西側諸国の多くの海軍が今回のものと同じレーダーを採用しているので、データをオープンにすると迷惑がかかる。だから日本は実務者協議によって丸く収めようとしたのに、韓国側が拒否して今日に至っているという事実がある。しかも、韓国側で表に出てきているのは制服=軍人ではない人たちだ。おそらく大統領府からの強い指示があり、事実を認めない姿勢に凝り固まっているのではないかと思う。しかし、韓国側の説明を聞いて"なるほど"と思う軍人は世界中に一人もいないと思うし、韓国軍も困っていると思う。これがいわゆる歴史認識問題であれば、それぞれの立場や見方もあるだろうし、溝が埋まらないということもあると思う。しかし今回の問題は"あったか、なかったか"。軍事的・技術的に、二つに一つの世界だ。そもそも平時に公海上で、友好関係の国に対して火器管制レーダーは使わないもの。その、極めて異例なことだということを忘れて両方の言い分を並列に並べ、"どちらの言い分が…"というような議論はすべきではない」。

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 作家の乙武洋匡氏は、「韓国は国際的な基準に対して"脅威だ"と異を唱えたことになる。米軍とも行動していかなければいけないのに、自分の首を自分で締めてしまう行動ではないのか。日本がこれだけ協議を呼びかけてきたのに拒否し続けていたのに、"だったら打ち切り"と言った途端に"遺憾だ"というのはどういうことやねん、噴飯ものだと思う」と厳しく批判していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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