元関脇で39歳の十両十二枚目・豪風が17年に及んだ現役生活に別れを告げた。今場所は本来の力強い押し相撲が見られず、九日目の時点で負け越し。翌日、引退を発表した。
秋田県の金足農高から中大に進んで学生横綱となり、2002年夏場所、幕下・十五枚目格付出しで角界デビュー。長く幕内を務めた。関取最年長で40歳の安美錦が現役でいるため、立場的に“二番手”に甘んじでいた感もなくはないが、2014年名古屋場所では横綱日馬富士を破り、35歳1カ月で史上最年長初金星を獲得。翌秋場所は35歳2カ月の戦後最年長で新関脇に昇進するなど、相撲史にもしっかりとその名を残した。
「何でも最年長というのが自分の記録についてくる。最年長という言葉は誇れると思う」と引退会見では語った。
幕内在位86場所は歴代10位。幕内出場1257回は同8位。いずれも大卒力士としては史上トップである。172センチという力士としては小さな体ながら、これほど長く土俵を務めることができたのは、稽古やトレーニング、節制にストイックなまでに打ち込んできたからだ。巡業日程が発表されると真っ先に各地方のトレーニングジムをビジターで予約を入れ、現地に到着すると食事よりもまず先にジムに足を運び、たっぷりと汗を流した。
「一度休むと元に戻すのが難しいから」とオフはほとんどなく、最後までオンの状態で走り続けた現役生活だった。
母校の金足農高には、豪風の角界での長年の活躍を称えた記念碑が建っている。秋田県民栄誉賞も受賞するなど、同県が最大級に誇る人物でもある。引退後は年寄押尾川を襲名し、後進の指導に当たる。ストイックに土俵に打ち込む姿勢は、後輩たちにしっかりと受け継がれることだろう。
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