24日午前、国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎代表が会談を行い、党の合流を前提に統一会派を結成することで合意した。
先月、夏の参院選について「政権を取るという強い志がないとだめだ。それぞれが。できるだけ早く野党の共闘体制を作る」と語っていた小沢氏。玉木氏も「自民党に代わるもう一つの選択肢を作ることが国民に対する責任だと思うので、党大会でも申し上げたが、違いではなくて何が同じなのかということを追求して、できるだけ大きな塊を作ることが必要だと思う」と話していた。今回の合意で、参議院での両党を合わせた勢力は立憲民主党の会派を抜き、野党第一会派となる計算だ。
長年小沢氏を取材している作家の大下英治氏は「小沢氏は野党の接着剤。まずは、国民民主党と立憲民主党をくっつけることを考えている。共産党とも仲がいいので参院選では野党大同団結を可能に。改選一人区32議席のうち20議席取れる可能性もある」との見方を示す。
しかし、Twitter上には「大義名分がなければ党支持率は低調のままで人材流出し選挙も勝てない」「低い支持率がさらに低くなるだけ。小沢さん、やめてー!」「基本方針の違いを乗り越えて政策もロンダリングですか?」「政策の違いも大きく、両党議員の人間関係は密接ではない」など、厳しい意見も並んでいる。
世論調査(去年12月、ANN調べ)で国民民主党=1.4%、自由党=0.3%と、ともに支持率が低迷する中、今回の連携・協力がどのような化学反応を起こすのか、国民民主党副代表で外交・安保調査会長の渡辺周衆議院議員に話を聞いた。
今回の動きについて、朝日新聞は「国民幹部の中では『豪腕』で知られる小沢氏の知名度や選挙手腕を求める声が強く、昨年9月ごろから国民幹部が小沢氏側に水面下で接触していた」と報じている。
「剛腕」「壊し屋」などの異名を持つ小沢氏。 「小沢代表はどんな政治家?」という質問に玉木氏は「うーん…小沢一郎さんですね(笑)」と答えている。
1989年、47歳の若さで自民党幹事長に就任。しかしその後、自民党と袂を分かち、新生党を結成。日本新党などと連立し、自民党から政権を奪う。さらに自由党を率いた1999年には自自公連立を果たして政権に返り咲くが、再び野党として民主党と合流するなど、政界・政党再編の常に存在し続けてきた。そして国民の生活が第一、生活の党を経て、現在は自由党の共同代表の職にある。自民党幹事長時代の小沢氏を象徴する出来事として挙げられるのが、いわゆる"小沢面接"だ。1991年、次期総裁を決めるにあたり、党内の大物政治家である宮沢喜一、渡辺美智雄、三塚博の3氏を47歳の若さで「面接」したのだ。
将来的に両党の合流が実現した場合、小沢氏が幹事長に就任するという観測も出てきているが、これまでの小沢氏の"剛腕"ぶりや、政党を壊しては作るというやり方に忌避感を示す議員がいることも確かだ。
渡辺氏は「政治の世界の"生き字引き"のような人。表も裏も知りつくしている。2009年初当選で当選4回、民主党政権の時にも役職に就いていなかった玉木代表がどんな化学反応を起こせる。AIみたいなものがどんどん出てくる中で、日本の産業構造や就労の問題はどうなっていくのか。人間社会にどう影響を与えるかということを、これからを担う若い人たちに打ち出してもらう。政治学=ポリティカルサイエンスと言うが、"あの人とあの人が仲悪いからなるもんもならない"とか、科学で割り切れないような人間くさい部分について、知恵を借りたい」と話す。
また、新聞各紙が「合流へ」との見出しを付ける中、玉木氏が頑なに合流という言葉を使わなかったことについては「我々は民主党時代に一度"離婚"しているので、いきなり"再婚"は一足飛びなのではないかということ。もう一度"同棲"から始めて、お互いがどう変わったのかということを見なければいけない。私たちは2009年の衆議院選挙で政権交代を果たし、民主党政権を作った。しかし3年3か月の間に小沢さんは離党し、自壊するような形で終わってしまった。なぜ我々は政権を失ったのだろうということをずっと自問自答してきた。お互いにその失敗を背負った上で、本気でやり直せるかどうかということを見極めなければならない」と説明した。
一方、政策面では隔たりもある両党。例えば原発について、国民民主党が「2030年代まで原発ゼロ」を目指し、再稼働を認める方針なのに対し、自由党は再稼働も認めない。消費増税についても、国民民主党は「使途を教育目的にも拡大し、複数税率導入は認めない」という前提で容認する立場だが、自由党はそもそも増税に反対している。しかも自由党には原発ゼロ、消費税増税反対というぶれない信念を持ち、合流に慎重な姿勢を示す山本太郎参議院議員もいる。
消費増税について渡辺氏は「小沢さんは『日本改造計画』を出した時に、所得税を下げて間接税を上げるべきだと言っていた方。しかし2012年、民主党内が紛糾したのは、約束もしていないことをなぜやるのかということだった。小沢さんも、何が何でも上げてはならないとは言っていない」と説明。
「山本太郎さんが自由党にいるように、我々の党にも小沢さんのやることにトラウマがあり、また火種になるのではと心配する人がいる。そうはいっても支持率が低迷し、安倍一強で好き勝手にやれているのは、野党が内輪揉めばかりしていてちっとも選択肢にならないからだ。野党が大同団結したということを見せていかないと、野党はどんどん小さくなっていく」。
政治評論家の有馬晴海氏は「日本が少子高齢化で財源不足・資源不足の国だということは皆が分かっている。国会議員もそうだ。小沢さんも"消費税を上げるな"と言って民主党を出ていったが、この国を考えたら、いつかは上げないといけないという考え方もある。ざっくり言いえば政党に大きな差はない。政権を取るためとか、選挙で勝ちたいためとか、その時のテーマでマニュフェストに付け加えると解釈した方がいい」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶放送済『AbemaPrime』は期間限定で無料配信中
この記事の画像一覧■Pick Up
・キー局全落ち!“下剋上“西澤由夏アナの「意外すぎる人生」
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・「ABEMA NEWSチャンネル」知られざる番組制作の舞台裏