拡大する貧富の格差を世界規模で表した報告がSNSで注目を集めている。
国際NGO「オックスファム」が発表した『世界の富の偏在に関する報告書』。これによれば、世界で最も裕福な26人の資産約150兆円(2018年)は、貧困層の38億人が持つ資産と同じだという。また、資産10億ドル(約1100億円)以上の富豪は、2010年から2018年の間にほぼ倍増の2208人に増えたとし、この富豪の多くはアメリカ人が占めているという。
さらに、オックスファムは報告書の中で「富豪層や大企業に課税し『底辺への競争』をやめるように」と提言。最富裕層が0.5%多く税金を払うことで約44兆円が集まり、これは学校に行けない2億6200万人の子どもの教育、医療サービスで330万人の命を救うことができる額だとしている。
こうした内容にSNSでは「もっとこの問題に目を向けるべき」という声の一方、「頑張った結果。金持ちはその分寄付をしている」という意見もあがっている。
社会起業家の牧浦土雅氏は「この議論が出てきたのは、2014年にフランスの経済学者のトマ・ピケティが出した『21世紀の資本』という本の影響が大きいと思う。資本主義がもたらした不平等の拡大に、富裕層の人たちがお金をどんどん使うことで全体も潤うというトリクルダウンは機能しないことが見えてきた」とコメント。一方、富裕層への課税に対しては「2010年からはマイクロソフト創業者のビル・ゲイツを発起人として、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグや投資家のウォーレン・バフェットらが『ギビング・プレッジ』を始めた。これは、死ぬ前もしくは死後に資産の半分以上を慈善団体に寄付するという誓約。ウォーレン・バフェットは資産の85%以上を寄付することを決めていて、ビル・ゲイツはすでに途上国で医療サービスを提供している。民間にしかできないようなこともあるので、富裕層にだけ累進課税や新しい税制度をもたらすのはどうなのか。税金で不透明な使われ方をされるよりは、有能な人が直接寄付する方がはるかに効率的」と疑問を呈した。
また、課税に対する国民の受け止めについては「北欧は税率が高いけど、自分たちが払った税金がその国の教育サービスにどう使われているかが目に見えている。日本をはじめとする先進国で所得税を増やすことは可能だけど、『本当に国のために使われるのか』という透明性が大事になってくる」と見解を述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)








