千葉県野田市の小学４年生、栗原心愛さん（10）が亡くなった事件。県警は先月25日、父勇一郎容疑者（41）を傷害容疑ですでに逮捕しているが、4日になって同容疑で母親のなぎさ容疑者（31）を逮捕した。本件については勇一郎容疑者から母子に対するドメスティックバイオレンス（DV）があり、そのことが事件の引き金になったとみて県警は慎重に調べを進めている。
「夜中に起こされたり、起きている時に
けられたり
たたかれたりされています
先生、どうにかできませんか」
このように心愛さんは一昨年、小学校で行われたいじめに関するアンケート（小学校低学年用）で「虐待を受けている」とし、SOSを出していた。しかし、野田市教育委員会はアンケートの秘密を守るとしながらも、実際にはそのコピーを父親に渡していたことが明らかになっている。野田市教育委員会の対応について柴山文部科学大臣は「市教委の対応は適切ではなく極めて遺憾と考えております。今回の悲惨な事件の一つの遠因になったのではないか」と発言。千葉県は第三者による検証委員会を設置し、再発防止策などを検証すると発表している。
一連の件について、3日にAbemaTVで放送された『Abema的ニュースショー』に出演した元埼玉県警捜査一課刑事の佐々木成三（42）氏は「児童相談所と警察の情報の共有が完璧ではなかった」と切り出すと「これまで児童相談所が警察に相談すべき案件だと判断した場合に限り、警察に情報がくるというシステムだった。しかしこれではあまりに主観に頼り過ぎるということで、今では“全件共有”というシステムが構築されている。昨年末時点で、10以上の都道府県がそのようなシステムになっている。今後も全件共有の流れは全国に広がっていくだろう」と話した。
「でもね」と佐々木氏の言葉を遮るように意見を述べたのは、番組MCを務める千原ジュニアだ。
「大人が怖かったからアンケート結果のコピーを父親に渡すって、その日に家に帰った女の子がどんだけ怖かったことか。これ、ほう助ですやん。実名で報道した方が良いですよ。実際、次のアンケートで女の子は答えていないわけですから」と憤りを露わにすると、佐々木氏は「たとえ暴力を振るわれていても、味方がお父さんだけとなると、子どもはお父さんを守ってしまう。ただ、今回については防げた事案だ」と話し、DV問題解決の難しさも指摘した。
行政の立場から意見を述べたのは、前東京都知事の舛添要一。舛添氏は「先日、青山で児童相談所建設の問題が挙がったが、児童相談所を建てればいいとみんなが思っている。しかし『親の権利』を主張されたときに、それを抑え込む警察力を（児童相談所）持っているわけではない。地域全体で警察、学校、教育委員会を含む協力の輪が広がらなければ問題解決にはつながらない。例えば児童相談所が踏み込んでいって保護した時に、『拉致をした』というクレームが来る場合だってある。どっちが正しいかを判断するとき、ご近所付き合いの希薄化も問題だ」と主張すると、その意見に対して漫画家の江川達也氏（57）は「ただ、虐待を通報したとしても、このお父さんのような人に訴えられるリスクはとても高い。だから“関わらない”ということになってしまう。組織を作っても、組織と組織の間の隙間があり過ぎる。結局は児童相談所や学校など、組織の間を埋める別の組織を作らなければいけないが、今回の件に関しては関係省庁が3つに跨っており、どこの官庁の管轄になるのか。その隙間を埋める省庁をまた作るのか……」と頭を抱えた。
最後にゲストとして登場したセーラー服おじさん（56）は「当事者の対応に落ち度があり、そこが叩かれている。では他の児童相談所や学校だったら防げたのか？ 今現在だって虐待を受けている子どもたちは全国にたくさんいるかもしれない。学校と相談所、役所が連携して子どもたちを救ってあげるための体制が抜けているのであれば、これからの未来の話の方が大切だ」と話し、本件に関する世論の反応に対して警鐘を鳴らしていた。
(C)AbemaTV
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