東宝=アスミック・エース共同製作・配給作品として、映画『燃えよ剣』の製作が決定。監督及びメインキャスト5名が発表された。
累計発行部数500万部超! 国民的作家・司馬遼太郎による伝説の幕末小説、映画化
世代を超えて熱烈なファンを持つ歴史小説界の巨星・司馬遼太郎が、新選組副長・土方歳三を主人公に、近藤勇・沖田総司といった新選組の志士たちの人生と、彼らが生きた激動の時代・幕末を描いた「燃えよ剣」。1962年から64年にかけて「週刊文春」で連載された本作は、64年の刊行から現在までに単行本・文庫を合わせた累計発行部数が500万部を超える大ベストセラーとなっています。土方歳三は、歴史上の偉人のなかでも、その信念の強さや圧倒的なカリスマ性に、熱狂的なファンが多い偉人のひとり。そんな土方の没後150年である2019年に、満を持して製作する。
『関ヶ原』の原田眞人監督×岡田准一 名匠と超豪華キャストで贈る圧倒的大作!
監督を手がけるのは、国家の形が変わる日本の変革期に生きる人々をテーマに、『関ヶ原』(17)『日本のいちばん長い日』(15)など力作を生み出す原田眞人。昨年の『検察側の罪人』(18)の大ヒットも記憶に新しい名匠が、『関ヶ原』と並んで長年熱望した司馬原作の映画化を実現。『関ヶ原』スタッフが再集結し、時代が大きく動いた「幕末」を圧倒的なスケールで描く、「新選組」映画の決定版を贈る。
剣豪ぞろいの新選組で、“副長”として類まれなる手腕で組織を作り厳格な戒律で統率、混迷の幕末を駆け抜けた志士・土方歳三を演じるのは、『関ヶ原』の石田三成役で原田監督と初タッグを組み、第41回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した、今や日本の映画界に欠かせない俳優、岡田准一。NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、映画『蜩ノ記』(14)『関ヶ原』(17)『散り椿』(18)と本格時代劇への出演が相次ぎ、今回も原田監督の絶対的な信頼を得ての出演となった。これまで数々の名優が演じてきた土方役に初挑戦。日本の伝統的な社会・価値観が覆ろうとしている動乱の時代のさなかで、朋友の近藤勇や幕府に対して深い忠誠を誓い、何が起きてもブレずに自らの信念を貫き通す。激動の時代に屈しなかったヒーロー・土方に全身全霊で挑む。その姿に、現代を生きる我々も深く胸を打たれるはずだ。
そんな土方と恋に落ち生涯愛し合うことになるお雪を演じるのは、主演を務めたNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」以来の時代劇出演となる、柴咲コウ。土方と熱烈に惹かれあいながら、激動の時代によって引き裂かれていく、哀しくも逞しいヒロインを、凛とした美しさ、確かな演技力で魅せる。岡田と柴咲は今回が初共演となる。
土方の盟友である新選組局長・近藤勇を演じるのは、NHK大河ドラマ「西郷どん」で大河初出演にして初主演を成し遂げた、鈴木亮平。徹底的な役作りで絶賛された西郷隆盛役に続き、真逆の立場で同じ幕末を駆け抜けた実直な剣士・近藤役に、渾身の演技で挑みます。
病に倒れるも天才的な剣の使い手として知られ、新選組の中でも土方と並んで人気の高い若く美しき剣士・沖田総司を演じるのは、Hey! Say! JUMPのメンバーとして活動しながら、話題作への主演が相次ぎ俳優としての活躍も目覚ましい、山田涼介。今回が時代劇初挑戦となり、本格的な殺陣・アクションも披露する。
そして、土方や近藤に狙われることになる新選組初代筆頭局長・芹沢鴨に、『海猿』シリーズや『悪の教典』『22年目の告白―私が殺人犯ですー』などの大ヒット作で強烈な印象を残している、伊藤英明。酒を飲むと手がつけられない粗暴な性格ながらそのリーダーシップで新選組結成を推し進めた豪傑を、圧倒的な存在感と色気で演じ切る。
激しい戦闘アクション、時代に引き裂かれる運命の愛。大河俳優が一挙集結、超一流のスタッフで贈る、歴史スペクタクル超大作!
撮影は、2月~4月、京都・滋賀・岡山などを中心に行われる予定。また、「新選組」史上名高い「池田屋事件」が起こった、旅館・池田屋をオープンセットで当時のままに完全再現、倒幕の流れを決定づけた幕末最大の事件を迫力の殺陣で描き切る。公開は2020年を予定している。
以下、コメント。(原文ママ)
原田眞人(脚本・監督)コメント
チャンバラごっこではいつも新選組が仇役だった。私は桂小五郎に代表される「勤王の志士」。覆面をかぶりたくなれば鞍馬天狗にもなった。しかし、映画では桂小五郎が主役になることは殆どなく、鞍馬天狗映画は安易な娯楽作だった。新選組が主人公になる映画の方が圧倒的に多く、上質に思えた。
幕末の知識は幼少時に祖父から伝え聞き、それがやがて時代小説を読むきっかけともなった。司馬遼太郎ワールドの入口も短編集「幕末」だった。「逃げの小五郎」を読みたくて足を踏み入れたのだ。
高校生になって「燃えよ剣」と出会った。以来、新選組と土方歳三に魅せられ、「新選組血風録」のファンになり、子母沢寛の新選組トリロジーに心が震えた。そうやって情報量が増えるにつれ新選組を描く映像作品への不満が募るようになった。例えば、ダンダラ。子母沢寛が壬生の新選組のホストファミリーだった八木家ご子息から得た証言では、近藤や土方ら幹部クラスは一度もダンダラの制服を着なかったという。理由は、安っぽかったから。新選組は黒の集団であった。ダンダラは、平隊士の一部が着用し、一年も経たずに淘汰された。おそらく芹沢鴨の発想で赤穂義士を模したダンダラ制服を作ったのではないか。当然、土方は着ない。映画では、大島渚監督の「御法度」だけが、ダンダラ俗説を避けて黒の隊服にしている。
新選組は維新動乱期の象徴的、宿命的な存在だ。既成の秩序やモラルがくずれ、新しい体制が模索されている混乱の時代に現れた若者たちの右往左往と魂の叫びがそこにはある。人は変革期に如何に生きるべきか。現代の世相とダブる混沌を、土方は筋を通して生きた。
「燃えよ剣」は激流を生きる人間の営みをスケール感とともに描いている。武州多摩郡のバラガキ(茨垣:不良、ならず者)であった近藤勇、土方歳三、沖田総司、井上源三郎の四人の生き様死に様は、ハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」の四人組にそっくりで、男気の連帯が心豊かに描かれている。中でも土方にはTHE LAST SAMURAIの風味が漂う。
絶妙のキャストも組めた。岡田准一さんは超一流の武芸者が俳優のふりをしているような人。今回は主役の土方歳三のみならず土方が絡むすべての剣技の構築・指導も委せている。映画史上最高の土方歳三、時代劇史上最高の立ち役が生まれると、私は信じている。
ヒロインのお雪は土方の思い人であると同時に司馬先生の思い人であるようにも思う。原作にある絵の素養を映像的にも広げたインディペンデント・ウーマンとして柴咲コウさんに演じてもらう。彼女にはホークス作品のヒロインに通ずる凛とした美しさと男世界で生き抜く逞しさがある。
近藤勇はデビュー以来、「私のイサミ君」と思い続けて来た鈴木亮平さんを迎えることができた。西郷どんで付けた27キロ分を削ぎ落として、見事な男振りである。
山田涼介さんは作品を見る度に、彼の演ずる沖田総司を見たいという思いが強くなった。俊敏な剣技も、儚げな微笑みも、土方との軽やかな会話もすべてが「スクリーン上の沖田総司であるべき人」のベクトルを指している。
土方、近藤、沖田がハマリ役の理想を突き進む以上、芹沢鴨の配役は「意外性」を前面に押し出したかった。本来なら公開まで名前を伏せたかったくらいだ。伊藤英明さんが引き受けてくれたのは幸運だった。私の考える鴨は、しらふなら土方、沖田がふたりがかりでも倒せない武門の人。近藤に欠けた教養もある。そして何よりも原作で沖田の口を借りて言わせている「私の知る限りいちばんの善人かもしれない」という要素を大切にしたかった。伊藤さんにはそれらがある。
原田組初参加の四人と岡田さん。このケミストリーは最強だ。脇を固める顔ぶれも、原田映画史上最高のヴァラエティに富んでいる。書きたくて書きたくてたまらないが、今は我慢しよう。
司馬人類学講座を半世紀に渡って学んだ生徒として、私は、BARAGAKI土方歳三がBROKEN SAMURAIになりUNBROKEN SAMURAIに至る物語を、紡ぎたいと思う。芝居はナチュラル、剣技はリアルをモットーに、世界勝負の本格的時代劇を目指したい。とはいえ「リオ・ブラボー」と「グッド・フェラーズ」を心に抱いて現場に挑むことになる。(2019年1月17日記)
岡田准一(土方歳三役)コメント
原田眞人監督から司馬遼太郎さんの名作、「燃えよ剣」の土方歳三という、身に余る大役をいただきました。 以前に原田監督作品に出演させていただいた「関ヶ原」に続き日本の変革の1つです。変革の時代を演じることは、やりがいのあるタフな作業になりますが、共演者の皆さん、スタッフの皆さんとこの作品を乗り越えて行きたいと思います。土方歳三の人生を覚悟と畏敬を持って楽しんで演じたいです。原田監督が作り上げる生っぽい激動の幕末をご期待下さい。
柴咲コウ(お雪役)コメント
初めて演出していただく原田監督。初共演の岡田准一さん、鈴木亮平さん、山田涼介さん。世の中で語り継がれる新選組。
司馬遼太郎さんの長編歴史小説のオリジナルキャラクターであるお雪を、時代に翻弄されながらも凛として生きる女性として、素直に表現できればと存じます。
鈴木亮平(近藤勇役)コメント
何者でもない。
侍ですらなかった若者たちが、いかにしてあれだけの力を持ち、畏怖される集団になっていったのか。仲間さえも殺してまで作り上げたかったもの、守りたかったものとは何か。
映画という別の世界で、近藤勇という一人の男として再びあの時代に入り込み、欲も恐れも友情も、全て肌で受け止めながら生きてみようと思います。
原田監督と敬愛する岡田さんのもと、一丸となり、皆様に新しい新選組の肖像をお見せします。
ご期待ください。
山田涼介(沖田総司役)コメント
錚々たる共演者の皆様の中でお芝居をさせていただくことに緊張する一方、
武者震いしています。
僕にしか出来ない表現で沖田を描きたいと思っていますし、
原田監督、そして先輩の岡田君と共演するのは初めてで、
先輩方の背中を見て、この作品の中で多くのことを吸収して、
沖田を生き抜きたいと思います。
伊藤英明(芹沢鴨役)コメント
芹沢鴨という強靭な男を演じさせていただくことになりました。
岡田君が演じる土方に対して、全力で対峙したいと思います。
一緒にお芝居ができるのが本当に楽しみです。
原田監督とは初めてですが、誘っていただき大変光栄です。
改めて、俳優という仕事に全力で臨みたいと思っています。
(c)2020 「燃えよ剣」製作委員会