（2.17両国のメインで対戦する佐々木（右）と竹下。前哨戦では竹下が佐々木にイスを叩きつける場面も）
2月17日に開催されるDDTのビッグマッチ、両国国技館大会で、新世代エースの竹下幸之介がメインイベントに登場する。竹下は団体の頂点、KO-D無差別級タイトルに挑戦。チャンピオンは昨年10月の両国大会で男色ディーノを下した“カリスマ”佐々木大輔だ。昨年4月に同王座から陥落した竹下だが、それまでは1年以上にわたって防衛を続け、連続防衛記録、王座最長保持記録も樹立していた。
当時の竹下は「DDTがナメられないように」、「強いDDTを見せたい」と高い緊張感を保って闘っていた。だがベルトを失ってからは“フリーバード”と自称。激しさに加え巧みさ、笑いの要素、意外性などさまざまな方向にレスラーとしての枝葉を伸ばしている。
KO-D6人タッグ王座の防衛戦では、挑戦者に里村明衣子率いるセンダイガールズプロレスリングを指名したことも。男女関係なく、強い選手、魅力的な選手と闘いたいという“フリーバード”としての自由さを発揮した。また伊藤麻希戦、小学生レスラー・ゆに戦では実力差を見せつけつつ相手の良さを消さない闘いを披露。リーグ戦「D王GP」の青木真也戦で見せた“プロレスリングの寝技”も高い評価を得た。
（「強さは認めるがつまらない」と竹下を評した佐々木。会見ではテーブルに乗って「竹下にベルトを獲らせたらDDTが暗黒時代になる」）
このD王GPでプロレスリング・ノアの潮崎豪を下し優勝。王座挑戦権を掴んだ竹下は、6人タッグ選手権でCIMAへのリベンジにも成功。新技・ファブル開発でフィニッシュの幅も広がり、今の竹下は絶好調、キャリア最高の状態にあると言っていいだろう（本人によると、本当の最盛期はまだ先、30代と考えているそうだが）。
王者・佐々木は初戴冠の際に勝った相手であり、相性はよそさそうだ。しかしそれ以降、佐々木もレスラーとしての力を増している。試合中、マイクアピール、試合後のコメント、さらには私生活含め破天荒そのもの。“混沌”そのものが佐々木のパワーだと言える。
実は竹下も、佐々木には影響を受けてきたという。2月8日の会見で明かしたところによると、高校生でデビューした2012年、マヤ予言の人類滅亡説を信じて「僕の中では人類がゾンビ化するんじゃないかと」ホームセンターでスコップを3本購入した竹下。佐々木もマヤ予言を信じ、人類滅亡に向けて後悔しないようにとクレジットカードを限度額いっぱいまで使い切った。このあたりも佐々木の“あだ名がカリスマ”である理由の一つであり、そう呼び始めたのは竹下（とアントーニオ本多）だった。
（1月の大阪大会で行なわれたゆに戦も竹下の技量が光った好勝負。ヒール化することでゆにの闘志を引き出し、際立たせた）
そうして佐々木が無軌道かつ破天荒な人生を重ねていく中、竹下は「このままでは（人類ではなく）僕が尊敬する佐々木選手が滅亡してしまう。僕が勝つことで目を覚まさせたい」。これに対し、佐々木は「話が長い！ 俺は竹下のおしゃべりを止めまきゃいけない。それにゾンビなんかいるわけないんだ。地球が滅亡する時は古代の地球人が地球を取り戻しに来るんだ」と独自の理論を展開してみせた。
ビッグマッチのメインイベント、タイトルマッチに向けた会見で2人とも何を言ってるのかという話ではあるが、竹下としてはあえて佐々木の土俵に乗った形でもあるだろう。こうしたやり取りも、今の竹下の自由さ、ある種の余裕の表れだ。団体の頂点の座をかけたタイトルマッチ。それは結果としての勝ち負けを競うというだけでなく、存在感の優劣を争うものでもある。以前とは違うチャンピオンの姿も見越して、竹下は羽を広げているのだ。
文・橋本宗洋
写真：（C）DDTプロレスリング
【視聴予約】
▶2/17 12:00～
DDT「Judgement2019~DDT旗揚げ22周年記念大会~」両国国技館
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