時代の最先端の流行を作り出し、文化や経済に大きな影響を与えてきたギャル。1990年代後半のアムラー世代の特徴はミニスカートに厚底ブーツ、メイクはガングロ、細眉で目元のハイライトが特徴。「チョベリバ」「チョベリグ」「MM」などは流行語にもなった。
2000年、"マンバ世代"の特徴はALBA ROSAにルーズソックス、メイクはガングロの進化系であるゴングロにマンバメイク。アイテムとしてはミジェーンの袋が流行。「HK(話が変わって)」「MK5(MajiでKoiする5秒前)」「アウトオブ眼中」といったことばも流行した。
また、2010年の"アゲ嬢世代"の特徴はエロかっこいい系のファッションに、美白、ブリーチした金髪、スジ盛りといったメイクや髪型が特徴だ。携帯をデコるためのデコグッズに、「あげぽよ」「激おこぷんぷん丸」「KY」といった言葉が一世を風靡した。
そして2019年はファストファッションに太眉・マツエクといったスタイル。「まじ卍」「あげみざわ」「いい波のってんね」といった言葉も使う。
eggの元カリスマギャル・宮下美恵さんは1996年に同誌の読者モデルとしてデビュー。ALBA ROSAやRoxy等を流行らせた第一人者として知られている。現在はモデル・ライフスタイルプロデューサーとして活躍している。当時のことを「焼けやすくて、他の子たちよりも日サロ代が浮いた。美恵ぴょんとかマロンちゃんって呼ばれていた。渋谷にいるイメージは強かったが、みんなみたいに普通には遊べなかった。プリクラとか撮っているだけで200~300人周りに集まった」と振り返る。
ガングロギャルが肌を黒く焼く理由について、宮下さんは「強く見せたいというのはあるかもしれない。表現力であって、目立ちたいし、強そうに見られたい」と説明。
昨今の"インフルエンサー"とカリスマギャルたちとの関係について、株式会社ウツワ代表取締役のハヤカワ五味氏は「今のインフルエンサーは分散しているが、当時は本当にスターが数人だったので、影響力はすごかったと思う。街を歩いているだけで数百人集まるインフルエンサーはいないと思う」とコメントした。
■「何を言われても止めない。止める方が嫌だから」
アムラーやコギャル、白ギャルなど様々な進化を遂げてきた平成のギャルたち。とりわけインパクトが強かったのが、ガングロギャルではないだろうか。最近では全く見かけなくなったが、実は今でも活動しており、一緒に渋谷観光を行うという謎のツアーもあるという。その名も「ガングロツアーズ」だ。
この日、引率してくれたのは"渋谷マサイ族のボス"Lunaさん、女子大生のまーちりんさん、ぇりもっこりさんの3人。彼女たちは姉妹サークルを合わせると300人以上が所属するという日本最大のギャルサークル「Black Diamond」のメンバーだ。
まずはハチ公前での記念撮影だ。「ハチ公は神様。渋谷と言ったらだしギャルからしてもめっちゃレジェンドみたいな。いつも渋谷を見守ってくれてありがとうみたいな」と、撮影後にハチ公を拝み出す3人。取材にあたった所太郎氏は「トコえもん」というニックネームを付けられ、困惑気味だ。
次はガングロメイク体験。やっぱりギャルといえば濃いメイクっていうのが特徴だし、メイクしないとギャルにはなれないからギャルにとってメイクは命だし、化粧品作ってくれた人まじ感謝」とLunaさん。まーちりんも「何もやってない状態っていうのは裸で走っているような感じがする。フル◯ンで歩いているようなもの」と説明。3人が「かわいい!」と絶賛するも、番組スタッフは自身仕上がりに「見たくない…」と絶句していた。
続いてのプリクラ撮影。「スマホで撮るよりも、やっぱ盛れる。ギャルは盛ってなんぼだから絶対撮らなきゃ終われない」。最後は彼女たち御用達だという"砂浜カフェ"、「Alee Beach(アリービーチ)」でツアーは終了した。
「チャラいとか、遊んでそうとか良いイメージがあんまりなくて最初は嫌だったけど。やってくうちに、言われたり思われたりするより、自分がこの格好を止める方が嫌だなみたいな方が勝っちゃったから、ずっとやってる。何を言われても止めない。止める方が嫌だから」と話す彼女たちに、所氏は「誰しもああいう時代はあったと思う。今、それを精一杯やってるっていうことなんだろうな。きっと色んな夢があるんでしょうから、頑張ってほしいなと思う」と話していた。
■egg編集長「ファッションは変わってきたけど、変わらないのはマインド」
そんな中、彼女たちの教科書とも言える雑誌『egg』が復活する。1995年に創刊し、ファッション、メイクなど様々なギャルカルチャーを牽引最盛期には発行部数50万部を誇ったギャル雑誌だ。してきた。一世を風靡したガングロ・ヤマンバギャルなどが時代とともに衰退、惜しまれながら2014年に休刊していた。
昨年3月21日、『web egg』としてインターネット上に復活。公式Twitterアカウントが"1週間で1万リツイートされれば復刊"というキャンペーンを行ったところ、わずか2時間で1万リツイートを達成した。
渋谷で女性たちに話を聞いてみると、「eggが復刊するのは嬉しい。見たいと思う。ギャルの友達が周りにいないので、今どんなギャルがいるのか知れたら嬉しい」(22歳女性)、「気になる。買わないけど見てみたい」(22歳女性)と、幅広い人たちが復刊を楽しみにしているようだ。
編集長の赤荻瞳さん(22)は1996年生まれ。小学生の頃からeggの大ファンだったという。「高校くらいから渋谷に出てきてギャルサーをやっていた。その伝手で広告代理店で働かせてもらってて、その中でeggがwebで復刊できるという話を聞いて、編集長をやらせてくださいとお願いした」と話す。
イマドキのギャルについて赤荻氏は「自分をアピールする場が渋谷とかストリートからSNSになった。インスタグラマーもたくさんいて、自分が憧れる選択肢がすごく増えたし、安いファッションができるようになった。ファッションの系統もすごく増えて、ギャルだから何を着るとか黒肌とかがなくなった。多様化して色々なギャルがいる」と説明、「ファッションは変わってきたけど、変わらないのはマインド。自分がイケてると思うことを周りの意見に流されずに自己表現していくというのがギャルだと思う」と指摘。
また、今回の復刊については「"待ってた!嬉しい!"っていう声を頂いたりとか、元々雑誌を読んでいた方からも"本当に嬉しいです"って言って頂いて、この5月に出すやつはスゴイ雑誌にしないとヤバイなって(笑)。本当にみんな気合い入っている元々の面白さも引き継ぎつつ、今の女子高生とか若い子向けの最新の情報も発信していく形になる。"モデルがこんなことやるの?"みたいなこともやると思う」と笑顔でアピールした。
現在クラウドファンディングにも挑戦中で、支援すると復刊した本誌がもらえるほか、ページに参加することができるなどの特典もあるという。eggの復活で、"周りに何と思われようが、自分が良いと思ったスタイルを貫く"、そんなギャルカルチャーが再燃するかもしれない。
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