予算なし、ビッグネームなし、劇場公開予定なし…から一転。大手シネコンでの拡大ロードショー決定、鬼才ポン・ジュノ監督、香川照之、高良健吾、池松壮亮ら“見る目の肥えた”各界著名人からの賛辞の嵐。異例尽くしの広がりと反響を生み出しているのが、片山慎三監督による長編映画監督デビュー作『岬の兄妹』(3月1日公開)だ。
足の悪い良夫が、自閉症の妹・真理子の売春を斡旋していくという貧困兄妹の生き様を、すさまじいほどのリアリズムとテンションで描き切る。過不足の無い演出・展開もさることながら、本作を支える大きな柱となっているのが、兄妹を演じた松浦祐也と和田光沙の成り切りぶりだ。戦慄と滑稽を同居させたようなゾッとする迫真演技を見せた2人に話を聞いた。