24日に行われた沖縄県名護市辺野古の埋め立ての是非を問う県民投票。投票率は52.48%に達し、「反対」72.1%、「賛成」19.0%、「どちらでもない」が8.7%という結果になった。
この結果をどう見るのか。25日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、基地移転容認派・反対派それぞれの若者に話を聞いた。
県民投票の全県実施を求めてハンガーストライキを行った、宜野湾市出身の大学院生で「辺野古」県民投票の会代表を務める元山仁士郎さんは「本来は埋め立てを進めている国、防衛省、沖縄防衛局などから丁寧な説明を頂きたいと思っていたが、全く出てきてもらえず、自民党も静観していた。反対側による運動は多かったが、賛成側が大々的に運動を展開しなかったので、盛り上がりには欠けたと思う。あえてそうすることで"これは民意ではない"と見せたいという意図もあったのではないかと思う。ただ、そんな中でも2人に1人以上の人が投票に行ったというのはものすごいことだと思う。こんなに行って頂けたと思い、うれしかった。結果を首相とアメリカ大統領に伝えると定められている"4分の1"を超える結果がしっかり出て良かったと思っている。宜野湾市民でさえも反対が圧倒的多数だったのは、"本当に普天間は返還されるのか"、あるいは"沖縄の中でたらい回しにするのは理不尽じゃないか"という人が多かったからではないかと思う」と話す。
「県民投票をやることが目的だったので、会としては役割を終えたと考えている。しかし、今回の結果を反映させられるよう、ひとりひとりができることもあると思うので、会でも検討しているところだ。県民投票で示された意思が反映されないというのは、民主主義の根本に関わる問題になってくる。なぜこんなに沖縄に基地が集中しているのか。今回の示された意思をしっかり実現する、形にするのがあるべき姿だと思う。なぜ沖縄だけに押し付けるのか。日本の人たちは何で考えないのか。そういうことを問いたいと思う。県民にもぜひ一緒に解決していこうということを呼びかけたいし、国民ひとりひとりに考えてほしい」。
一方、昨年の知事選で自公が擁立した佐喜真淳氏の『支援する会』青年部長を務めた新しい沖縄を創る会の若手代表・嘉陽宗一郎さんは「僕の周りは"結局変わらないだろ""別にそのままでいい"ということで、ほとんどが投票に行っていない。私は容認という立場で賛成に入れたが、容認という立場でも、今回は反対に入れた人ももしかしたらいるかもしれない」と話す。
「保守側がほとんど呼びかけをしない中で投票率52%という結果が出たのは、ものすごいことだと思った。目立ちはしなかったが、静かに県民が燃えあがっていたのかなと感じている。元山さん中心に、若い人たちが住民投票のための条例制定のときから動き、この結果を勝ち取ったということは本当に意義があることだと思う。この結果をどのように受け止めるのかということが、日本全体、そして沖縄の人間にも問われていると思っている。政府は従来通りの説明をしているが、沖縄の保守、自民党を中心とする政権とのパイプがあると言っている人たちがどう受け止めるのかが大事だ。沖縄県の自民党は容認という立場だが、この沖縄の民意を受けて、政権とのパイプをどのように活かして、お互いの利害を調整していくのかという役割が求められているのではないか。僕も保守と呼ばれる側で活動していて、"政権とのパイプ"という言葉をよく使う。今回の沖縄の民意を受けて、より納得できる形をどういうふうに提案していくか。政府と沖縄との調整役、タフネゴシエーターとしての役割が求められているということをしっかりと訴えていきたい」。
■ウーマン村本「県民投票をやることに意味があったと思っている」
投票当日、沖縄に滞在していたウーマンラッシュアワーの村本大輔は「居酒屋で20代の男の人が、店長さんや他のバイトの人と"お前、行ったのか""何で行ってないんだよ"というような話をしているのと見た。沖縄ではこういう問題について家庭の中でも話ができないと聞く。だから居酒屋でどっちに入れたのかを聞いたら、"それは絶対に言えないが、こういう機会があって良かった"と話していた。僕も県民投票をやることに意味があったと思っている」と話す。
「アゴラ」編集長の新田哲史氏は「反対が多数になるということは、各種の世論調査で分かっていた。大阪府の住民投票もそうだったが、基本的には選挙の争点を設定した側の主導で進んでいくので、今回も玉城知事の支持層の方向になった部分は仕方がない。良くも悪くも選挙は対立しないと盛り上がらない部分があるが、自民党の沖縄県連は積極的に動かず、知事選で佐喜真さんに入れた人たちもあまり投票に行かなかった可能性もある。自民党サイドも賛成なら賛成で、運動をやるべきだったかもしれない」と指摘する。
その上で、「投票所から足を遠のかせないためにも、"どちらでもない"という3つ目の選択肢が用意されたのは良かったと思うが、やはりそれぞれが複雑な思いを持っている。賛成だが微妙だなと思っている人もいるだろうし、反対一辺倒ではない人もいるだろう。反対だけど、日本や沖縄の安全保障を考えたいという人もいただろう。そういう部分をもう少しすくい上げるという意味では、開票作業が大変だったとしても、4択、5択にするという方法もあったと思う」と話した。
作家の乙武洋匡氏は「県知事選のときの投票率63%と比べて10%以上も低いから、という見方はあまりフェアではないと思う。県知事選は自分の投票によって知事を選ぶことができるが、今回は法的拘束力がないということで、言い方は悪いが、"投票したところで影響を及ぼせない"という違いがある。にもかかわらず52%の人が投票に行ったというのは、高い投票率だと言えると思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
▶放送済み『AbemaPrime』は期間限定で無料配信中
■Pick Up