キックボクシングの“神童”那須川天心が、今年の初戦で快勝を収めた。
昨年大晦日、RIZINのリングでフロイド・メイウェザーとボクシングルールのエキシビションマッチを行ない、1ラウンドTKOで敗れている那須川。公式記録には入らない試合とはいえ屈辱を味わい、また注目度も跳ね上がった中での今回の試合だった。
舞台はホームリングであるRISEのビッグマッチ、大田区総合体育館大会。世界トーナメント-58kg級の一回戦だ。世界中の強豪を集めて、真の世界一を決めるトーナメントで闘いたいというのは、那須川自身が提唱したプランだった。那須川の相手はアルゼンチンのフェデリコ・ローマ。世界タイトルも持つ選手で、68戦と那須川の倍のキャリアを誇る。
「しっかり対策しないと」と那須川も警戒していた相手との一戦だったが、いざゴングが鳴ると“神童”が圧倒してみせた。序盤からのラッシュで、はっきりと実力差を見せつける。ただ、ここでガムシャラになりすぎない姿勢も目立った。ローマの粘りもあって、試合は最終3ラウンドまでもつれ込む。
那須川によれば「メイウェザー選手と闘って、慎重になったところがありました」。同時に「冷静に闘うことができました」とも。
そして3ラウンド、蹴り足をキャッチしての左ストレートでダウンを奪うと、“トリケラトプス拳”のポーズで余裕も見せる。さらに最後は手をマットについて大きく体を傾けながらのハイキック、いわゆる“センチャイキック”の変形バージョン“天心キック”でローマをKOした。
ド派手なKO劇に、那須川はコーナーに上って渾身のガッツポーズ。「自分はそうは思ってなかったですけど」としつつ「復活」をファンにアピール。さらにトーナメント優勝も誓った。
トーナメント準決勝は、7月の大阪大会。那須川はムエタイ王者スアキム・PKセンチャイジムとのリマッチが決まった。難敵、しかも相手がリベンジに燃えているという状況だが、那須川はトーナメント優勝、さらにその先の世界も見据えている。
「いろんな団体がありますけど、団体じゃなくキックボクシング(という競技)を最高にしたい」
同日開催のK-1も意識してか、そう語った那須川。KOのインパクトとともに、ジャンルと時代を背負う人間としての決意も感じさせたのだった。
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