築地市場跡地の再開発方針を巡って荒れ模様が続く東京都議会。小池都知事や与党・都民ファーストの会の運営への批判を展開してきた元経産官僚の宇佐美典也氏と、それに対しTwitter上で反論を行ってきた伊藤ゆう都議(都民ファーストの会)がついにAbemaTV『AbemaPrime』で直接対決した。
「一浪人が都議会議員に噛み付くというのはまことに非常識。そこは認める」と宇佐美氏が切り出すと、「Twitterを見ていた方々から討論を期待したいという声もあったので、いい機会なのでお話をさせて頂ければと」と伊藤都議が応じて、議論がスタートした。
これまで自身のブログで、築地・豊洲問題について「豊洲の土壌汚染再調査(2008年)に至る経緯」「都が行った850億円の土壌対策工事は本来不要」「盛り土が『最低限必要』だったのは政治的理由」というポイントを指摘してきた宇佐美氏。改めて土壌汚染は法令に基づいた調査方法と対策を講じるべきで、完璧な、ゼロを求めるような対策をしていたらきりがないし、舛添前知事もそのような立場だったと主張。一方で、2008年当時、都議会民主党所属だった伊藤都議らが詳細な調査を行わせたと指摘、さらに「50cm土を積めばいいところを2m掘って4.5m積むことになった。都民ファーストの会や小池都知事は"ワイズスペンディング"を掲げて選挙に挑んだ。にもかかわらず、食の安全に関係ない追加工事を何十億円もかけて行い、環状2号線の開通も遅らせた」と追及した。
さらに「地下ピット」の問題についても、市場問題PTの委員を務めた専門家からもその必要性が提起されており、技術会議の図面にも盛り込まれていたとした。
これに対し伊藤都議は「2008年当時は条例と法律が変わる時期で、土壌汚染の調査方法が全く違った。多くの専門家からは土対法に基づいて対応した方がいいのではという意見が出たので、当時の石原都知事が詳細調査をしようということになったという経緯だ」と説明。「実際に4万3000倍のベンゼンが出た。これは到底、市場として適応するような土ではない。"ここに本当に市場を作って、本当に私たちそこに行くの?無害化してもらわなかったら、到底築地からは移転できない"というのが市場関係者の声だったし、消費者の声でもあった。我々はそこで商いをされている方々を相手に新しい市場作りを提言していかなければならない立場。宇佐美さんは法律に照らせば問題ないと言われるが、市場関係者がそれを聞いたら激怒すると思う。自信を持って"ここだったら大丈夫だ"と言える土地でなければ安心して移転をお勧めできない。それが我々政治家としての立場だ」と反論。
また、地下ピットについては「仲卸の皆さんには盛り土で約束していたので、盛り土があるところに何で空間があるんだ、今までの話がデタラメだということで、大きな不信と不安に繋がったのは皆さんご存知の通りだ。最初に都が公表して、宇佐美さんがおっしゃられたように、より優れた工法だと説明していれば大きな問題にならなかったのかもしれない。ただ少なくとも、そうした報告を残念ながら都議会も見抜くことができなかったところに責任はあると思っている」との認識を示した。
その上で伊藤都議は「宇佐美さんと私の立ち位置の違いがある。私たちは皆さんに安全な市場を作る、安心してくださいと言ってきた。その工法はやっぱり盛り土だった。"追加対策は何もしない。豊洲に行ってください"と言って、仲卸さんたちは豊洲に行っただろうか。意味のない工事というのは専門家会議に対しても失礼だ。都民ファーストだけが賛成したようなことをおっしゃられたが、自民党も賛成しているし、議会の中でも多くの方々が必要な工事だと賛同された。市場関係者、食する都民の方々にとっても、あの状態のままで豊洲に移転してほしいというのはまかり通らなかったと思っている。追加対策工事に50億円程度をかけさせて頂いて、安全安心を改めて確保させて頂いたと思っている」と主張した。
激論を交わした両氏は握手をし、伊藤都議が「ぜひまたTwitterで議論をさせて頂き、盛り上がったら呼んで頂いて対決させて頂ければ」と笑顔を見せると、宇佐美氏も「議論できてよかった。まだまだたくさんある」と応じ、番組終了後には「話してみて、伊藤ゆう都議は都議会の「鈴木みのる」だな、と感じた。伊藤都議はヒールをやりきる覚悟を持ってるし、そういう存在は議論のリング場である議会に必要だ。そうじゃなきゃ議論が深まらない。そしてヒールをやりきれる人は少ない。認識を改めた上で、またバトルしたい。」「今日はとにかくアベプラでの公開討論を受けてくださった 伊藤ゆう都議に感謝です。」と投稿していた。
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